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学校週6日制に県内関係者戸惑い
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文部科学省が学校週6日制について検討する方針が明らかになった15日、県内の教育関係者や保護者の間からは戸惑いの声が多く聞かれた。本県でも児童、生徒の学力向上が課題となっており、現場では「脱ゆとり」の新学習指導要領への対応が図られている。ただ週休2日が既に定着した現状の中、「もっと慎重な議論が必要」「授業時数増だけで学力に直結するとは思えない」などといった指摘や、教員の負担増を懸念する意見が出ている。
県中学校長会の久保田公浄会長(古川中)によると、授業時数増となった新学習指導要領をこなすため、各校では冬休みや夏休みに授業日を設けるなどして対応しているという。
久保田会長は「現実問題として授業日数が足りないとは感じている」としながら「だからといって、その対応を土曜日の授業実施にすぐに結びつけるのはどうか」と疑問を呈する。
今後の議論には、どのようなメリット、デメリットが生じるか、学校や保護者を交えて考えるべき、と提言する。
県教委学校教育課の成田昌造課長は「報道で知ったばかりで、県教委としては情報収集や検討などもまだ行っていない」とし、個人的な見解と断った上で「10年以上続けてきた週5日制を変えるのは簡単ではないだろう」と急激な変化への懸念を示した。
「学力低下が叫ばれる中、国としてしっかりとふんどしを締め直すべきだが、一概に土曜日に授業を実施すべきなのか」と言うのは県PTA連合会の益川毅会長。新学習指導要領への対応や、少人数学級の流れの中、「教員の人数は足りない」と指摘した上で「まずは子どもたちのことを考え、教員の意見も踏まえてしっかり議論すべき」と注文する。
一方、週6日制に移行すれば、子どもたちの週末の校外活動などへも影響がありそうだ。例えば野辺地町では週5日制の対応として、制度が導入された翌年の1993年から、町中央公民館で「町文化少年団」の活動を実施。隔週または月1回、土曜日に、将棋や茶道、料理などの講座を開いてきた。
同少年団本部長で、町教委の古田力也教育長は「教育を総合的に考えれば、子どもたちには学校外の教育活動も必要。それに学力向上のためには、教員の指導力向上や授業内容の濃密化こそ大事だ」と述べた。
県高等学校・障害児学校教職員組合の谷崎嘉治執行委員長は「そもそも週5日制は、日本人の働き過ぎが国際的に批判を受けたことがきっかけで、相当な時間をかけて制度化してきた経緯がある」と指摘。「精神疾患などで離職する教員の増加が問題になっており対応が急がれる中で逆行する動きだ。本質的な教育議論を抜きに、政治的に先行させるのも理解できない」と語気を強めた。
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