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また…ボーイング787 機内に煙が発生、緊急着陸

機内で煙が発生し、緊急着陸した全日空ボーイング787
機内で煙が発生し、緊急着陸した全日空ボーイング787
Photo By 共同 

 山口宇部発羽田行き全日空692便ボーイング787の機内で16日午前8時25分ごろ、煙が発生し、約20分後に高松空港に緊急着陸した。乗客、乗員計137人は脱出用シューターで機外へ脱出、乗客1人が腰の痛みを訴え病院へ搬送された。787はバッテリー出火などの機体トラブルが国内外で続出。全日空と日航は、同型機すべての運航を当面中止することを決めた。

 692便には河村建夫自民党選対委員長の長男で政策秘書の河村建一氏(36)も搭乗しており「墜落するかもと思った」と青ざめた様子で恐怖を語った。

 離陸から間もなくして、前方から煙の臭いが漂い始め、機長から「発煙した」とアナウンスがあり機体が急降下。テーブルから新聞が落ち、「トラブルが相次いでいる機体だったので不安だった。乗客は祈るような様子で黙っていた」と振り返った。

 国交省によると、高松空港付近上空の高度約9000メートルを飛行中、操縦室下にある電気・電子機器室で煙を感知し、操縦室の計器に表示された。電圧低下などバッテリーの異常を知らせる表示も相次ぎ、機長が緊急着陸を決めた。

 乗客は脱出用シューターで機外へ脱出。ジャンボ機では地上から非常口までの高さが約5メートルあり、シューターの角度が急でかなりの速度で滑り降りるため、摩擦や地面に下りた際の打撲傷が多い。今回も乗客1人が腰の痛みを訴え病院に運ばれ、2人が擦り傷など軽傷。

 全日空の調査で、電気・電子機器室でメーンバッテリーのケースが黒く変色、電解液が漏れていたことが分かった。山口宇部空港事務所によると、同機は出発前の点検や出発時は異常はなかったが、昨年2月、同空港で整備中に電気制御部品に不具合が見つかった。

 国土交通省は事故につながりかねない重大インシデントと認定。バッテリーが原因だったとの見方を強め、航空機専門の職員3人を高松に派遣。運輸安全委員会の航空事故調査官5人も高松空港に到着した。

 バッテリーは、ボストン国際空港で7日(日本時間8日)に出火した日航機の補助動力装置(APU)用のバッテリーと同じジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)の製品。国交省の担当者は「共通の問題がある可能性は否定できない」としている。

 全日空は保有する787全17機、日航も787全7機の運航を、安全が確認されるまで取りやめる。

 ≪試験中にも出火≫787は強度不足で改修を繰り返したほか、試験飛行中にも配電盤からの出火トラブルなどで開発期間が延び、全日空への1機目の引き渡しは当初予定より3年以上遅れた経緯がある。煙は操縦室に立ち込めたとみられ、航空評論家の青木謙知氏は「操縦室のみで煙が出たのなら、電気系統の不具合の可能性が高い」と指摘。操縦室の真下にメーンバッテリーを納めた電子機器室があり、バッテリー自体か周辺の配線に問題が生じたのではないかとしている。

 【今年に入ってからの787トラブル】

 ▼7日 米ボストン国際空港に駐機中の日航機のバッテリーから出火、客室内に煙
 ▼8日 同空港で別の日航機が離陸前に燃料漏れ
 ▼9日 山口宇部空港で点検中の全日空機ブレーキに不具合
 ▼11日 兵庫県上空で全日空機の操縦室の窓ガラスにクモの巣状のひび。宮崎空港では全日空機で潤滑油漏れ
 ▼13日 成田空港で整備中の日航機から燃料流出。ボストンで燃料漏れを起こしたのと同じ機体で、原因調査の作業中

 ◆ボーイング787 米ボーイングが開発した最新の中型双発ジェット旅客機。全日空が世界に先駆けて導入した8型は全長約57メートル、全幅約60メートル。炭素繊維の複合材を使って軽量化、これまで大型機でしか飛べなかった長距離の欧米路線も就航が可能。日本メーカーが機体の35%の部品製造を請け負っている。1月現在、全日空は17機を保有、国際線の4路線、国内線の11路線で使用。日航は7機を保有し、国際線の6路線で使用している。

[ 2013年1月17日 06:00 ]

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