麻雀上達の方法



ちょっと麻雀についてもお聞きしたい。学生時代は随分と麻雀にのめりこんだ風なことが書いてあったんじゃが、それ以前の「はじめて麻雀に触れた経験」になると、どこまでさかのぼるのかな? ゲームセンターにあったやつとか、両親が麻雀好きだったとか、いろいろあるかと思うが、原点はどこのへんじゃろうか?

高校2年だったでしょうか? 友達の家でやっていました。当時、厳格な母親の教育方針によって、マンガもテレビもゲームもプログラミングも読書もモノカキも禁じられていた自分が、『友達の家で勉強してくる』と言って麻雀をしに行ったのは自然な成り行きでした。

かなり厳しい家庭環境に思えるわね

初心者時代に苦労した話とかってありますか? あと、東風荘でご自身の研究に取り組む以前は、どうやってうまくなりましたか?「これを読んでうまくなった」とか「この人に教わってうまくなった」風な体験はありませんか? 麻雀の先生みたいな人とかいるんでしょうか?

初心者時代には、間違った『理屈』を作ってしまって困りましたね。自分の性格として、やはりいろいろと理屈を考えるわけですけれども、『リャンメンはカンチャンの2倍あがりやすい』とまでは間違わないとしても、『よくある間違い』を自分で作ってしまって損していたと思います。

うまくなったのは……これはもう長期間に渡る『打ちまくり』の結果得られる『正しいらしい打ち方』の積み重ねでしたね。

残念ながら周囲には、教わってうまくなった本、人はなかったのです。昔は、いわゆるオカルトバリバリの本や人が多くて、どのあたりまでが合理的に正しくて、どこからが間違っているのかわからずあまり参考にできなかったからでしょう。今だったら周りに上手い人がたくさんいるし、かなり良い戦術書も出てきているのですけれど。

とつげき東北君といえば非常にアンチも多いし、自らの著書「超・入門 科学する麻雀 (洋泉社MOOK)」の最後には、きみへの賛否両論の意見が掲載されとるわけじゃ。反響の高さを証明しとるわけでもある。

ワシの意見じゃが、野球や柔道のようなスポーツでも一昔前は「根性・精神力」といったものでやってきたわけじゃが、近年は「スポーツ科学」みたいな科学的な見地からトレーニングをしたりで「うさぎ跳び」みたいな練習は膝を痛めるのでやらなくなった。

麻雀もある意味で一緒のようなことじゃと思うんじゃよ。科学的、統計的な見解を持ち込んだ、この功績は非常に大きいと思うんじゃ。さらに、講談社の現代新書で出版したことは、麻雀という範疇を越えているともいえる。そういった意味で、本を出版する以前と以後で、何か感じるところや、決定的に変わったことはないじゃろうか? あらためて自分のやったことを振り返ると、どんな感想が出るじゃろうか?

直接の回答になりませんが……面白いのは、自分の書籍について、『当たり前のことしか書いてない』『現代麻雀の常識』といった批判がある一方で、『データが東風荘だから役立たない』『実際の麻雀と全然違う』という批判もあることです。『当たり前だが役立たなくて、現代麻雀の常識だが実際の麻雀と違う』とはどういうことだろうと。

実はこういう過程の中で、人々が無意識に認める『常識』が、ほんのわずかにシフトするんですよ。

昔はハッキリと『一般に、裏スジは特別に危険ではない』と言い切れる人はいなかった。皮肉なことに今、『そんなことはフリーの勝ち組にはわかっていたことだ』と言う人が出てきている。その種のダイナミズムが楽しいですね。なぜそのことが今までの戦術書に『書いていなかったのか』をよくよく考えるとき、自分がもたらした何かによって麻雀界が微妙にズレたのだという事実を思い起こし、感慨を覚えずにはいられません。

スポーツの話も同じでしょうか。今でもスポーツの世界に根性論はまだまだ残っている。科学ではスポーツは語れないと熱弁する人もいるでしょう。しかし一方で、そうではない人も増えつつある。ただ、これが最終的に全員『科学派』にまわるかと言えば、実はそうならない。どんな分野であっても歴史的にそうです。今でも進化論を真っ向から否定する人々は世界中に、たとえばアメリカの科学者にもたくさんいますからね。

『決定的な変化』に関してですが、奇遇にも自分と同じ大学出身の1歳年上の保木邦仁氏が、『ボナンザ』という将棋のAIを開発し、まさにコンピュータ将棋研究に『決定的な変化』を与えかねない偉業を成し遂げました。氏と自分を比較するほど自分も高慢ではありませんから、『決定的な変化』があったかと問われれば、そうでもなかったと答えるよりないでしょう。強いていえば、決定的ではないけれども、麻雀界に緩慢だが系統的な変化をもたらせたこと、それを観察して楽しめるような立ち位置に立てたこと、それが別の意味で『決定的』な違いかもしれません。

ナンザの話はニュースで見ていたんじゃが、開発者の保木さんはとつげき東北君と同じ大学の出身じゃったんじゃなぁ・・・。にしても、『常識がシフトする』は深い表現じゃよ。

インタビューはまだ続きます!ケッコウなロングインタビュー! 博士、せっかくだから、雀鬼さんについて質問してみてくださいヨ!

それは、興味深いが、なんとなく質問しにくい質問じゃなぁ・・・。 まあ、せっかくなので聞いてみよう。続くぞぃ!


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