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最終更新:2013年1月10日(木) 20時7分

判決前日に再び万引き、被告に実刑判決

判決前日に再び万引き、被告に実刑判決

 前代未聞、「裁判員裁判のやり直し」のニュースです。去年2月にスーパーでカミソリの刃などを万引きし、見つかった際に、保安員らにけがをさせたとして男が逮捕されました。11月7日、裁判員を前に法廷で「もうニ度としません」と涙ながらに語った男。本来なら、翌日、判決が言い渡される予定でした。

 ところが、突然中止に。いったい何があったかといいますと、この発言から2時間後、裁判所から帰る途中に別のスーパーで寿司などを万引きし、逮捕されたのです。この罪も含め、やり直しとなった裁判、2か月遅れで10日、判決が言い渡されました。法廷で「自分は病気だ」と語った男。果たして司法の判断は?

 「もうニ度と万引きはしません」。法廷で、こう誓ったその日に、再び万引きをして逮捕された東京・武蔵野市の卸売業・安村信男被告(49)。万引きだけでなく逃げる途中にスーパーの警備員らにけがをさせたとして強盗傷害の罪にも問われ、懲役6年を求刑されました。そして、10日・・・

 「被告人を懲役3年6か月に処する」。判決は「常習的に万引きを繰り返しており、犯罪傾向は根深い」と指摘しました。

 なぜ繰り返してしまうのでしょうか。保釈されていた安村被告は、9日の法廷の後、カメラに向かって、自らこう語っていました。B

 「(Q.二度とやりませんという誓いは?)頭にはありました。でもブレーキがきかなかったというのが本音です。普通の人だったら、やらないですよね」(安村信男 被告、9日)

 群馬県・渋川市にある精神科病院。安村被告は、この病院の医師に「クレプトマニア」の診断を受けました。クレプトマニアとは、衝動的に万引きを繰り返す「窃盗癖」です。

 「クレプトマニアの――です。話したいことがある人は、テーマにこだわらず話してもらって結構です」

 これはミーティング形式の治療です。自分がした行為の告白だけでなく、つらい生い立ちなど心の中にあるものをはき出していきます。

 「警察に捕まったときも(親は)仕事中だったのに、警察からの電話で仕事を切り上げて迎えに来てくれて。(入院した)今は、助けてもらえない。すごく怖かった」(「クレプトマニア」の女性)

 こちらの40代の女性も、クレプトマニアです。20代のころから週に4、5回も万引きをしていたといいます。しかも、安村被告と同じ様に、裁判で判決を受ける前日に再び万引きをし、逮捕されていました。

 「判決を言い渡されるという気持ちはあんまりなくて、“とる”という気持ちよりも 、“もらっちゃう”という気持ちで。ポケットに入れるというのが習慣になってましたね」(「クレプトマニア」の40代女性)

 2年間の服役後、すぐに入院しました。もともと摂食障害を抱えていたということですが、病院によりますと、クレプトマニアはアルコール依存症や摂食障害などをあわせもつことが多いといいます。この病院も元々は、アルコール依存症などの治療を専門としていました。

 「家族にもかなり迷惑をかけてストレスかけてきたので、そういう自分を消さなければ、自宅には戻れないという思いで、ここに来た」(「クレプトマニア」の女性)

 「きちんと治療をやれば、かなりの人が良くなると思ってます」(赤城高原ホスピタル 竹村道夫 院長)

 懲役3年6か月の実刑判決を受けた安村被告。「社会の中で治療を受けたい」と寛大な刑を求めましたが、判決は、「服役して罪の重さを自覚し、その後に治療を受けるべきだ」と指摘しました。

 「実刑となれば、やったことに対して、罪は償わなければいけないので、それは仕方がない」(安村信男 被告、9日)
(10日17:14)

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