社説:軽減税率 8%段階の導入めざせ

毎日新聞 2013年01月17日 02時31分

 自民、公明、民主の3党は2013年度税制改正をめぐる協議を開始した。消費税では低所得層対策の軽減税率の対象や導入時期が焦点だ。

 公明党は軽減税率の対象をコメや新聞などにしぼったうえで、8%段階から導入するよう求めている。これに対し自民党には、軽減税率の導入にはインボイスが必要であり、8%への引き上げが予定される14年4月には間に合わないとする意見が根強い。

 ここは踏み込むべきだ。公明党のいうように適用対象をしぼったうえで、8%段階から軽減税率を導入すべきである。消費増税への低所得層の不安と懸念は根強い。軽減税率の設計と導入を先送りすべきでない。

 社会保障の財源として重要性が高まる一方の消費税だ。この際は初めからきちんとした低所得層対策を組み込んでいくべきである。8%はまだ税率が1桁だから10%段階から軽減税率を導入すればよい。そういう議論も自民党内にはある。だが、8%と10%では2%しか違わない。10%論の根拠は薄弱だ。

 8%段階から軽減税率を導入するとなると、あわただしい作業になるのは事実だろう。しかし、日本の納税・徴税の現場力は非常に高い。間に合わせるのは可能であろう。単に面倒を回避したいという政治家心理で、税制改正の議論が集約されないことを願う。

 インボイスは商取引の各段階で税率や税額を記した書類を渡し納税額の計算を行う仕組みだ。欧州で広く行われており、軽減税率がスムーズに機能している理由という。

 ただ、欧州で付加価値税が始まったころと現在では、パソコンの普及など税額計算の環境に大きな相違がある。軽減税率はインボイスなしで可能という見方も有力だ。

 軽減税率については、その対象になる線引きが難しいことを理由に難色を示す意見もある。だが、欧州諸国の政治家にできて日本の政治家にできないということはないだろう。税はまさに政治そのものであり政治が本領を発揮すべき課題だ。

 欧州諸国は軽減税率に関して「基礎的食料」に加えて「知識」への重課をしないことを基本原則とする。どこでもだれでも容易に情報が入手できるようにする。それが民主主義の基本という考えだ。このため、ほとんどの国で新聞や書籍が軽減税率だ。米国各州や韓国でも同様だ。

 日本新聞協会のアンケートでは、8割超の人がおおむね軽減税率に賛成で、そのうち4分の3が新聞・書籍を対象にすることに肯定的だった。3党が各国の知恵と国内世論を踏まえ、国民から支持される消費税にまとめあげることを期待する。

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