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手抜き除染、言い逃れ ゼネコン報告書を検証

【動画】手抜き除染、新映像で立証

写真:「手抜き除染」の現場拡大「手抜き除染」の現場

写真:ゼネコンが現場検証した際の写真(上)と「川の中から回収した」と主張する熊手(下)。いずれも環境省に提出した報告書に添付されている=環境省提供拡大ゼネコンが現場検証した際の写真(上)と「川の中から回収した」と主張する熊手(下)。いずれも環境省に提出した報告書に添付されている=環境省提供

写真:手抜き除染の現場。ゼネコンは「高圧洗浄したのはベランダだけ」と環境省に報告したが、朝日新聞が撮影した動画には屋根を高圧洗浄する黒い作業着の男性(右端)が映っていた=昨年12月17日、福島県楢葉町、青木美希撮影拡大手抜き除染の現場。ゼネコンは「高圧洗浄したのはベランダだけ」と環境省に報告したが、朝日新聞が撮影した動画には屋根を高圧洗浄する黒い作業着の男性(右端)が映っていた=昨年12月17日、福島県楢葉町、青木美希撮影

図:朝日新聞の撮影内容とゼネコンの報告書拡大朝日新聞の撮影内容とゼネコンの報告書

 【鬼原民幸、青木美希】福島第一原発周辺の手抜き除染問題で、ゼネコンが環境省に提出した報告書は3件の「手抜き」を認めただけで、朝日新聞の報道とかけ離れた内容だった。これまで報じていなかった画像も使って、ゼネコン報告書の偽りを立証したい。

■一部始終を取材、偽り明白

 朝日新聞は4日の朝刊1面に3枚の組み写真で決定的瞬間を掲載した。現場責任者を示すピンクのラインが入ったヘルメットをかぶる作業員が落ち葉を何度も足で蹴り出し、川へ流している。昨年12月14日、福島県田村市での場面だ。

 田村市の除染を受注した鹿島などの共同企業体(JV)は「そのような事実はなかった」と報告書で主張した。責任者本人から聞き取った内容として(1)写真の人物は自分に間違いない(2)枯れ葉を流すことは絶対にしていない(3)写真は川に落ちた熊手を回収している時のもの――と説明。熊手が川に落ちて回収する場面を再現した現場検証シーンに加え、「回収した熊手」の写真も提出した。

 だが、記者は責任者の行動を27枚の連続写真に収めていた。3枚の組み写真の前後を見れば、熊手を落とした事実はなく、落ち葉を蹴り出してすぐに別の場所へ移ったことは明白だ。撮影時間は午前11時すぎ。記者は作業が終わる午後4時ごろまで現場近くから見ていたが、熊手回収の場面はなかった。

 鹿島JVが「熊手が滑り落ちた」とする斜面は撮影当時、うっそうとした枝に覆われ、熊手が滑り落ちることは物理的にも不可能だった。鹿島は16日の取材に「(責任者に)確認した結果。我々は本人の話を信じている」と回答した。

■「屋根は高圧洗浄していない」…作業姿、動画に

 4日朝刊の社会面には白い作業着の男性が楢葉町の住宅のベランダを高圧洗浄機で流し、水が飛び散る写真を掲載した。ベランダや屋根は手で拭き取るかブラシでこするのが原則だ。高圧洗浄機の使用は雨どいなどに限られ、洗浄水を回収しなければならない。

 前田建設工業などのJVは、ベランダの高圧洗浄で水が流出したことを報告書で認める一方、「屋根には高圧洗浄作業は実施していない」と明記した。

 ところが記者が撮影した動画には、白い作業着の男性がベランダを洗浄した直後、黒い作業着の男性が屋根を洗浄する姿が映っていた=写真。4日朝刊に掲載した写真には屋根の洗浄は写っていなかった。

 環境省は作業ルールで屋根は拭き取りと定めているが、ベランダには明文の規定はない。下請けのある作業責任者は「ベランダだけを認めたほうがダメージが小さい」と解説する。前田は16日の取材に「調査結果は報告書に記載してある通り」と答えた。

 4日の社会面では、飯舘村の郵便局駐車場を高圧洗浄した水が側溝に流れ込んだことを記者が確認して現場の作業員に指摘し、作業員が「責任者ではない」と答えたことも報じた。

 動画にこの会話が記録されていた。記者が水が流れ込む側溝を「ほらここ」と指し示すと、作業員は「責任者じゃないんでわからないです」と口ごもっている。作業員はその後、すっと離れていった。

 この場面について、大成建設JVは報告書で「『作業は何時に終わるのか』という質問があり、『警備なのでわかりません』と回答した」とし、側溝に水が流れているとは指摘されていないと主張。「水のしみ出しを認識していた職員、作業員は確認できなかった」とした。大成は取材に「報告書の通りと認識している」と答えた。

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