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感情によって時間の感じ方が変わる:研究結果

 
 
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TEXT BY MICHELA DELL’AMICO
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI


WIRED NEWS (ITALIAN)



研究者たちはさらに、「恥」のような二次的な感情を示す人が近くにいるときのわたしたちの時間の知覚を分析した。「このような状況では、わたしたちは時間の経過をより速く感じます。というのも、わたしたちは自動的にこのような感情の原因に注意を集中させる傾向があり、ほかの事柄から気をそらすからです」。しかしこのようなことは、8歳未満の子どもには起こらない。それは単に、「恥」の感覚を発達させ始めるのがこの年齢からだからである。

このような研究においては、ある種の体内時計、すなわち、わたしたちの個人的な時間の知覚を計測するストップウォッチについても分析されている。

実際、大脳皮質上部に存在するいくつかの脳細胞は、時計のように特定のリズムに従うことで、振動活性をもっている。そしてこれらの細胞は、約3万に至るコネクションを通してほかの細胞と関連づけられている。これには、わたしたちの過去の反応を状況とともに記録している記憶の活動も関係している。脳の時間の知覚は、記憶と注意に関係したプロセスなのである。

「記憶と注意のプロセスが組み合わさって働いていることにより、脳による時間のデータの処理は、脳の単一の部位ではなく、機能的なネットワークを基礎にしてのみ可能です。このことは、例えば時間の処理の欠陥だけを特徴とする神経科学的・心理学的機能障害は存在しない理由の説明になります」と、研究者たちは付け加えている。

感情についてこれまで述べたことと同じような方法で、わたしたちの周りにいる人々によってわたしたちの時間の知覚がどのように変化するかを考察した研究がいくつかある。例えば若者が、よりゆっくりと話したり歩いたりするお年寄りや小さな子どもと時間を過ごすときは、若者の体内時計がゆっくりになることが観察されている。これは、個人的な時間のスピードダウンで、ほかでもなく2人の人間の間の社会的相互作用を改善するものだ。

もうひとつの興味深い事柄は、口にくわえたペンや、皺取りのためのボトックス注射が、このようなプロセスを妨げることができるのを研究者たちが発見したことである。というのも、隣にいる人の顔があまりに「硬直」して、わたしたちの脳によって理解できるほど豊かな表情がなくなってしまうからだ。

さらに、ドラッグや薬もわたしたちの時間の知覚を変化させることができる。ドーパミンがこのようなプロセスの主要な神経伝達物質であり、これに関連するドーパミンのレセプターを活性化させるすべての化合物は、わたしたちの時間の知覚を速め、そのためより速く経過すると感じさせる傾向がある。

これは、ドーパミンの効果を高めるコカインが、わたしたちに時間が飛ぶように過ぎていくと感じさせる原因である。反対に、統合失調症を抑えるために用いられる抗精神病薬は、この神経伝達物質の効果を妨げ、わたしたちに時間がずっと過ぎていかないような印象を与えるものだ。

 
 
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