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【政治】

生活保護 厳格化を提言 社保審部会「低所得者と逆転」

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の生活保護基準部会は十六日、生活保護の生活費に当たる生活扶助の支給水準(基準額)が低所得者の一般的な生活費を上回り、「逆転」するケースがあったとする検証報告書をまとめた。同時に、同審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」は自治体の調査権限強化などを盛り込んだ制度見直し案をまとめた。自民党が衆院選の公約に支給水準の原則一割カットを掲げたのを受けて、弱者の切り捨てにつながりかねない抑制圧力が強まった。

 生活保護は住宅、医療など八つの扶助で構成。そのうち生活扶助は食費や衣服、光熱費などを賄う。

 基準部会は収入が全体の下から一割に当たる低所得者世帯(平均年収約百二十万円)の消費実態と生活扶助を比較した。試算によると、月約十八万六千円を受給する夫婦と子ども(十八歳未満)二人の世帯では低所得者の生活費約十五万九千円より約二万七千円(14・2%)高かった。

 夫婦と子ども一人の世帯は8・5%、二十〜五十代の単身者世帯は1・7%高かった。一方、六十歳以上は単身者、夫婦世帯のいずれも生活費のほうが高かった。

 政府・与党は二〇一三年度予算編成過程で、生活扶助を引き下げるか判断する。厚労省は「検証結果がそのまま基準に反映されるわけではない」としているが、議論に影響を与える可能性が高い。見直されれば〇四年以来となる。

 制度の見直しに関しては、政府は与党と調整し、今月末召集の通常国会に関連法案を提出したい意向だ。

 報告書案は、資産と収入に限定されている福祉事務所の調査対象を「就労状況や保護費の支出」に拡大。受給開始から六カ月ごとに就労活動などを福祉事務所が確認し、就職のメドが立たない場合は職種や場所などの変更を促す。働く意欲が低く保護を打ち切られた人は三回目の申請から審査を厳しくする。

 扶養を断る親族には自治体に理由を説明する責任を課す。

 就労を促すため(1)積極的に就職活動をする人に保護費を加算(2)働いて得た収入の一定額を保護が必要なくなった後に支給する制度の創設−も提言した。

 

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