うつ病を装い健康保険の傷病手当約５５０万円をだまし取ったとして、県警捜査２課などは１５日、尾道市高須町、会社役員、井手之上光洋容疑者（４２）と福山市春日町７、会社員、高月晃容疑者（３６）を詐欺容疑で逮捕した。県警は詐欺に利用するため架空会社を設立したとみて、詳しい手口や余罪などを追及している。

　逮捕容疑は２人は共謀し１１年４月１８日〜１２月２６日に計９回、全国健康保険協会広島支部に「高月容疑者がうつ病療養で勤務できない」と虚偽の内容で医師の診断書を添えて傷病手当を申請し、計５４７万４８４０円をだましとった、とされる。高月容疑者は実態がない会社の代表とされ、月給８８万円を得ていたと記していた。

　同課などによると、高月容疑者は１０年１０月から約２カ月間、井手之上容疑者が経営する会社に勤め、井手之上容疑者が主導的な役割をした可能性が高いという。捜査関係者によると、井手之上容疑者も以前、傷病手当を受給していたという。

　傷病手当は、国民健康保険を除く健康保険の被保険者が病気やけがで連続３日以上会社を休んだ場合、４日目以降の日給の３分の２を支給する。協会広島支部は記者会見し「給付申請が長期にわたるのでおかしいと判断し、調査していた」と説明した。昨年２月、因島署に情報提供していた。【黄在龍】