日本の「最後の晩餐」絵 ?

 日本で食事の場面を真正面から描いた作品があらわれるのは、明治以降、西洋美術の流入が始まってからだと言われています。

 しかし、例外的なものとして長崎県平戸市生月島に伝えられる貴重な隠れキリシタンの資料の中に食事風景を描いた作品「ダンジク様」があります。

 これは「お掛け絵」と呼ばれるものの一つで、キリスト教が厳しく迫害されていた江戸時代に普段は納戸の櫃などに隠されてあり、キリストの儀式や祭日などに密かに取り出され膳や盆の上に祀られました。過酷な弾圧に耐え抜いた信者たちが400年近くも命がけで秘匿してきたもので、生月では現在でも熱心な崇敬と信仰の対象となっているそうです。

 「ダンジク様」と呼ばれる絵は笹の生い茂る中で親子3人が白い山盛りのご飯を前にして食卓を囲んでいます。3人は1645年のキリシタン弾圧で殉教した弥市兵衛と妻マリア、その子ジュアンだとの説があります。

 日本では食卓を囲んだ珍しい絵で、日本版「最後の晩餐」とも言われ注目に値するものです。

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「ダンジク様」 個人蔵

— posted by 山本美術館 at 03:47 pm  

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