「みんなの力でがれき処理」――。東日本大震災発生から間もなく1年、宮城、岩手の被災がれきを他の都道府県で受け入れる広域処理への理解を求める異例の広報キャンペーンを、環境省が展開中だ。
「毎日がれきを見ることで、人々はあの日の悲しみを思い出す」。膨大ながれきを背景に男性の声が響く。6日夜、全国で放映予定のテレビCMの一場面だ(一部地域除く)。ナレーションは、宮城県女川町出身の俳優、中村雅俊さん。同省によると、被災地の現実を訴えるCMは、中村さんも出演する震災特別ドラマ「3・11その日、石巻で何が起きたのか〜6枚の壁新聞」(日本テレビ系)の放送時間帯に流れる予定という。
がれき処理は放射能汚染不安による住民の反対で進まず、環境省は焦りを募らせている。細野豪志環境相は「深刻さをわかってもらいたい一念で広報をしている。税金を使う話なので効果ある方法をとりたい」と話す。
6日朝刊の朝日新聞には、見開きの全面広告で宮城県石巻市のがれき写真を掲載。「乗り越えなければならない『壁』がある」と訴えた。東京や大阪、名古屋などの大都市では今後、電車のつり広告も予定しているという。
1月には、ホームページ「広域処理情報サイト」(http://kouikishori.env.go.jp/)も立ち上げた。がれき処理の安全性を細野環境相自ら動画で説明。「がれき処理に力を貸して」と訴える被災者たちの肉声も紹介する。(岩井建樹)