希望新聞:東日本大震災 声・被災者から
毎日新聞 2012年03月16日 東京朝刊
◆宮城
◇荒浜での墓参り続けて−−津波に襲われた仙台市若林区荒浜で、流失した浄土寺の仮本堂をプレハブで建てた住職、中沢秀宣さん(63)
「仙台市が『新たな津波被害が起きる可能性がある』として、集団移転を求めている区域に寺があります。生まれ育った荒浜への愛着から『建てても住まない』との条件で市の建築確認を取り、3月に完成しました。同じ宗派の人々からの支援金で、32畳の大広間と仏具をそろえることができました。(寺を閉める)午後5時ごろまで、荒浜に住んでいた人々が訪れます。寺が震災前まで地域とともに続いてきたことを実感します。集団移転が進んでも、以前住んでいた住民が荒浜で墓参りできるようにしたいと考えています」【平元英治】