大阪・高2自殺:橋下市長の入試中止要請 影響は必至
毎日新聞 2013年01月15日 23時54分(最終更新 01月16日 00時57分)
「子供にどう説明すればいいのか」−−。大阪市立桜宮高校で生徒が自殺した問題を巡り、橋下徹市長が15日、同校体育科などの入試中止を市教委に要請したことに、関係者は驚きや怒りを隠せない。中止となれば体育科がある他の公立高の入試状況も変わり、受験生への影響は必至だ。
「うちにも桜宮高への進学希望者がいる。その子の思いに市長はどう応えるつもりなのか」。ある大阪市立中学校の校長は戸惑う。
橋下市長は体育科とスポーツ健康科学科への希望者をいったん普通科で受け入れる考えだが、この校長は「入学後、普通科から体育科などに編入できる保証はあるのか」と疑問視。2学科の出願受け付けは来月13、14日に迫っており、「こんな時期に『普通科で受け入れる』と言われても子供は対応できない。実技試験の有無や入試科目の配点など試験内容が全く違う。無責任だ」と憤った。
市立中学3年生の娘を持つ父親(43)も、「学校では12月に三者面談で受験校を決めている。子供の人生に直接影響する。大人が責任をとるなら分かるが、怒りの矛先を子供に回さないでほしい」と疑問を呈した。
体育系学科のある公立高校は、桜宮高を含め大阪府内に4校しかなく、総定員は400人。桜宮高が体育系2学科の募集をやめると、志望者は同高普通科を受験するか体育科のある他校を受けるかの選択を迫られ、他の3校の入試倍率にも影響する。私立高も早い所では今月21日から願書受け付けが始まる予定で、進路変更の準備期間はわずかだ。複数の教え子が桜宮高体育科を志望する50代の男性中学教諭は、「桜宮で学びたいと頑張ってきた生徒の気持ちをどう思っているのか」と困惑した。【林由紀子、林田七恵、原田啓之】