【岡本玄】1945年の大阪大空襲など、米軍による五つの本土空襲の被災者ら23人が国に謝罪と計約2億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、大阪高裁であった。坂本倫城(みちき)裁判長は、請求を退けた一審・大阪地裁判決を支持し、被災者らの控訴を棄却した。
原告は45年3〜8月の大阪、兵庫、鹿児島、宮崎、静岡への空襲で負傷したり、肉親や家などを失ったりした被災者18人と遺族5人。戦後、旧軍人や原爆被爆者には恩給や健康管理手当など補償や援護の法律が設けられたが、空襲被災者にはなく、「法の下の平等を保障した憲法に反する」と主張していた。
2011年12月の一審判決は、旧軍人は国の指示で戦地に赴き、被爆者は放射線被害が長く続く特殊性があるなどとして、「空襲被災者との差が明らかに不合理とはいえない」と判断。「国は防空法で消火義務を負わせるなどし、空襲被害を拡大させた」との原告側主張も「戦時体制下で、救済の法律をつくる義務は認められない」と退けた。
空襲被害をめぐっては、東京大空襲の被災者らが起こした同様の訴訟で、09年12月の東京地裁、昨年4月の東京高裁がいずれも被災者側の訴えを棄却する判決を言い渡している。