インターネットを使った選挙運動が今夏の参院選から解禁される見通しになった。自民党は15日、28日召集予定の通常国会に公職選挙法改正案を提出する方針を決めた。まずは、召集前にも公明党との協議を開始し、自公両党で法案を策定。その後、昨年の特別国会に独自の法案を提出したみんなの党や新党改革のほか、日本維新の会にも協議を呼びかけ、最終的には5党の共同提案で年度内の成立を目指す考えだ。
現行の公選法は、選挙期間中にネット上で選挙活動をすることを禁じている。しかし、各党は選挙戦の最中でも党首の遊説日程を掲載するなど、投票の呼び掛けをしない範囲でネットを利用しているのが現状だ。
昨年の衆院選では、維新代表代行の橋下徹大阪市長が短文投稿サイト「ツイッター」を更新し続け、「逮捕されるかもしれない」などと書きつづったことは話題を呼んだ。
民主、自民、公明の3党は平成22年、政党と候補者に限定したネット解禁で合意したが、当時の鳩山由紀夫首相が退陣した混乱で法制化には至らなかった。安倍晋三首相は昨年12月26日の記者会見で「解禁を目指したい」と述べていた。
自民党がみんな、改革、維新の3党との協議に前向きなのは、与党が少数にある参院対策という側面もある。特に参院11議席のみんなの党を取り込めば、仮に民主、共産、社民、生活4党が反対しても法案を可決できる可能性が高まる。
自民党としては、通常国会の当面の課題である予算案や日銀総裁人事を無難に乗り切るためにも、みんなの党が強く求めてきたネット選挙を解禁し、同党に「貸し」をつくる思惑もある。法案化作業ではみんなの要求を最大限譲歩することも視野に入れている。
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