生活保護制度見直しで報告書案1月16日 14時27分
生活保護の受給者が過去最多を更新するなか、厚生労働省の専門家会議は、不正受給への対策の強化など生活保護制度を抜本的に見直すとともに、生活保護を受ける前の経済的に困っている人たちへの支援を充実させるべきだとする報告書の案を公表しました。
これは16日に東京で開かれた専門家会議で示されたものです。
それによりますと、生活保護制度の見直しでは、128億円に上る不正受給を防止するため、自治体の調査権限を強化し、仕事で収入があることを隠していないかや、保護費を何に使ったか調査できるようにするほか、罰則の強化などを検討することが必要だとしています。
また、受給者が早期に生活保護から脱却するのを促すため、積極的に就職に向けた活動に取り組んでいる人には一定の手当を支給するほか、就職のめどが立たない人には低い賃金でもいったん仕事に就くことを明確にすべきだとしています。
さらに、生活保護を受けながら働いて得た収入の一部を積み立てて、保護から脱却した際、受け取れる制度を創設すべきだとしています。
一方、生活保護を受ける前の経済的に困っている人たちへの支援としては、住居や就労支援などさまざまな相談を一括して受け付ける窓口を全国に設置したり、ひきこもりなどですぐに一般の仕事に就くのが難しい人に、簡単な作業を通じて働くことに慣れてもらう「中間的就労」の場を設けるべきだとしています。
専門家会議では、今月下旬に開かれる会議で報告書を取りまとめたいとしています。
生活保護の受給者は、去年9月の時点で213万人と過去最多を更新していて、厚生労働省は報告書を基に生活保護法の改正などを検討することにしています。
“受給抑制ではなく生活保護を受けずに済む支援策”
専門家会議の部会長を務めた北海道大学大学院の宮本太郎教授は「今回の報告書案は生活保護の受給を抑制するためのものでは決してなく、可能な人はなるべく生活保護を受けずに済むような支援策の在り方をまとめたものだ。
特に、生活保護受給者の増加に歯止めをかけるには、保護を受ける前の生活支援や就労支援が最も大切だと考えている。
政権は交代したが、報告書の内容を今後の政策に十分反映させてほしい」と話しています。
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