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押し買い規制 消費者委が了承
1月15日 19時30分

押し買い規制 消費者委が了承
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業者が高齢者などの自宅を訪れて、貴金属などを強引に買い取る、いわゆる「押し買い」の被害を防ごうと、来月から法律が変わり、これまで規制がなかったこうした取り引きに「クーリング・オフ」が、適用されるようになります。
規制の対象については、流通に影響が出るなどとして自動車など一部の品目を外すという消費者庁の案が15日の消費者委員会で了承され、新たな規制には例外も設けられる見通しになりました。

「押し買い」を巡っては、昨年度、高齢者を中心に、トラブルの相談が急激に増えたことから、契約から8日以内なら解約できる「クーリング・オフ」などを適用する「改正特定商取引法」が、去年成立しました。
法律では、原則すべての品目を規制の対象としていますが、消費者庁は、深刻なトラブルがない大型家電と家具、流通に著しく影響が出る自動車、書籍・CD類、有価証券の合わせて5つを対象から外すという政令の案をまとめ、内閣府の消費者委員会に諮問していました。
15日の消費者委員会で、河上正二委員長は、買い取りのトラブルが報告されている自動車などが対象外だが、貴金属の押し買いの被害を防ぐため、速やかに規制することも重要だとして、原案のとおり了承するという答申をまとめました。
ただし、対象から外した品目に被害が広がっている場合は、見直しをするよう求めています。
消費者庁は、答申を踏まえて、この案を来月上旬までに正式に決めたいとしており、これによって、新たな規制には例外も設けられる見通しになりました。

「押し買い」とは

「押し買い」は、悪質な業者が高齢者などの自宅を訪れ、貴金属や着物を相場よりも安い値段で強引に買い取るものです。
国民生活センターによりますと、金の価格高騰を背景にトラブルが急増した昨年度は、相談件数が4144件と、前の年度の1.7倍になりましたが、これまで規制する法律がありませんでした。
このため去年、「押し売り」などを規制する「特定商取引法」に、新たに「押し買い」の規制を盛り込む法律の改正が行われ、来月施行されると、契約から8日以内なら解約できる「クーリング・オフ」の制度が、「押し買い」にも適用されるようになります。

対象除外に反対意見も

規制の対象から外された品目のうち、自動車は実際にトラブルの相談が寄せられているとして、消費者団体などから除外に反対する意見が出ています。
国民生活センターによりますと、自動車の買い取りを巡るトラブルの相談は昨年度、1674件寄せられ、前の年度の1.5倍になっています。
このうちの2割程度が「押し買い」のトラブルとみられ、「査定を受けるつもりで業者に来てもらったら『修理にいくらかかるか調べる』と車を持って行かれ、その後、勝手に転売された」などの強引な買い取りや解約に関する相談が多いということです。
こうしたなか、今回の政令案で自動車を対象から外した理由について、消費者庁は、「自動車は道路運送車両法に基づく登録制度を信頼して売買を行う商慣習があり、法改正でクーリング・オフを適用するとこの仕組みに混乱を来す。今回の法改正では、ほかの制度で担保された流通の仕組みに影響を与えることまでは想定していない」と説明しています。
自動車の買い取り業者の団体、「日本自動車流通研究所」は、「クーリング・オフが適用されると、その間の車の転売が難しくなるが、貴金属と違って車の保管には相当なスペースが必要で、業者の負担が大きい。勧誘や契約の在り方については、業界として改善する取り組みを進めている」と話しています。
これに対し、消費者団体「主婦連合会」の佐野真理子事務局長は、「特に自動車は、苦情があると分かっていながら除外するというのは、問題を放置するのと同じだ。被害が起きたら法律を改正すればいいということでは後手に回り、今までと全く変わらない。ぜひすべての品目を規制の対象にしてほしい」と話しています。

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