- 『激流の疾風』 蒼き流星 希望への架け橋 ダイジェスト5
- ※これは「流星のロックマン」というゲームの二次創作です。あらかじめご了承ください
■8月8日
ギーラが編成したアメロッパ本部の戦闘部隊が移動。二班に別れる。孤児院「ドリームロード」と覇神コーポレーションのオフィスへ。
同時刻、未だショックから抜けきれずにいるミソラの代わりに街に繰り出すハープ。『本当に、何が起ころうとしているのかしら…………?』そんな折に近くの建物から火災が発生する。何事かと近くに行くと、孤児院が謎の電波人間の集団によって破壊されていた。
アメロッパ本部が開発した電波人間『ウィザーズ』。アシッド・エースを元に、オペレーターの体に負担をかけないようにした簡易版電波変換。アシッド・エースのような強靭な身体の力を得られない代わりに、バトルカードと数で闘うことを主とした戦闘部隊。ただの孤児院を破壊するために、実に30人ものウィザーズが攻め入る。
『そんな…………こんなことって!』
ハープはこの電波人間がどこのものなのかは知らない。だが孤児院を悪意をもって破壊しようとしていることだけは理解できる。
『やめて! なんでこんなことを……』
同刻、ニュースでは覇神コーポレーションがアメロッパ本部によって襲撃されていることを報道。《アメロッパ本部は、覇神コーポレーションがシルバー・ウィンドと世界征服を計画していると断定。午前12時から攻撃に入っている。現在は会社のセキュリティに守られているが、いずれ突破するだろう》
画面に超高層ビルの全貌が映し出される。孤児院と同じようにウィザーズが展開。だが規模が違う。200体を越えるのではないかという軍勢がビルを破壊しようと攻撃する。
それから数分後、ついにセキュリティが突破される。地上、上空から攻め上がるウィザーズ。その軍勢の一部に、いつの間にか漆黒の炎が纏わりついていた。
「おうおう、やってくれるじゃないか。ギーラ」
覇神コーポレーションの屋上から下りて来たのは、フォルテと電波変換CFした覇神黒影。両腕にダークソードを構えた覇神は、ウィザーズをデリートすべくバーニアを全開にした。
孤児院に攻め入ったウィザーズ、けれどいくら攻撃をしても孤児院を陥落させることは出来なかった。
「悪いけど、ここは壊させはしないよ」
現れたのはセレナードと電波変換CFした黄璃光。彼女から出した巨大なシールドが、ウィザーズの攻撃を全て無力化していく。そして続けざまに「ホーリーレイン」をかます。天空から降り注ぐ光の矢が、全てのウィザーズを一瞬で戦闘不能にしてしまう。圧倒的な実力差に、ウィザーズは撤退を余儀なくされてしまう。
『あ、あなた達は?』
未だ見たことの無い未知の電波人間に、ハープは思わず訊ねる。
「わたしはね、ただここの孤児院を守りたい、それだけの人間」
光は簡潔にハープに答える。他に伝えることなどないとでも言うかのように。
「あなたのオペレーターに伝えて。『あなたは、何のために今まで闘ってきたの?』って」
そういうと、光は電波変換を解いて孤児院の中に入っていってしまう。ハープはただその背中を見送ることしか出来なかった。
覇神コーポレーションの戦いは、覇神とフォルテの圧倒的な攻撃力によって幕を閉じた。オフィスの周りは全ての道が破壊しつくされ、アメロッパの戦闘部隊が弱いのではないかと思えるくらいに。
「…………何がしたかったんだ、あいつは」
疑問を残したまま、覇神もオフィスの中に戻っていく。
■8月9日
ニホンでは覇神コーポレーションが「サテラポリスの見解は見当違いだ」と発表。またウィザーズを倒した電波体については「わが社が開発したバトルウィザード」と釈明。世界ではコーポレーションが本当に世界を征服するのではないかという噂が流れる。
アメロッパではギーラの研究所であることが行われようとしていた。クロックPGMを使った、時空間移動。それも実験ではなく、『本番』である。ギーラはシルバーー・ウィンドに奪われたPGMを驚異的なスピードで作り直し、ついに目的を完遂しようとしていた。
「では、始めようか」
ギーラの目の前には巨大な檻のようなもの。さらにその中には数十名の科学者が入っている。これをギーラは裏で時空間移動させようというのだ。
だがボタンを押すよりも早く画面に「WORKING」の文字。襲撃してきたのは他でもないシルバー・ウィンド。先日セレナードとフォルテを仕留めそこなったことを知っているギーラは大して慌てはしない。
「俺が直々に出てやろう」
地下研究所から出たギーラが目にしたのは数十体のウィザーズを屠ったシルバー・ウィンドの姿。圧倒的防御力と攻撃力を併せ持った彼に、生身のギーラはウィザードも持ち合わせず宣言するのだった。
「電波変換」
ギーラは、たった一人で電波変換を可能にしてしまった。ムー人特有の能力を扱うギーラに、シルバー・ウィンドは苦々しく言う。
『それが永い時間をかけてムーとなる能力か』
ムー。現代でも解明できないテクノロジーを使う何千年前の土地。何故そんなことが起こってしまうのか。本当に神様でもいたのか? それとも他の何かがそれを可能にさせてしまったのか。
その答えがクロックPGMだ。時空間移動するさきは、つまりはムーなのだ。
「そうさ。あいつらには『ムーを侵略しテクノロジーを奪いつくし戻って来い』と命じた。けど実際それは出来ない。何故ならあいつらが跳ぶのは『ムー人が出現する前』だからだ。つまりだ、あいつらがムー人となる奴らなのさ」
ギーラは最初からムーのテクノロジーなど興味などなかった。ただ世界の矛盾をなくすために己が行動する。いわば世界の調整者(バランサー)だ。
『悪いがそれは止めさせてもらう。ムーが出来ると、ムーメタルも出来てしまうからな』
「そうなると世界が破滅するってか? 今現在のように」
『……てめぇ』
ムーメタル、時が流れればその金属も作られることだろう。だがそのあまりに強力な能力。平行世界を移動する力は無限にあるであろう平行世界同士を癒着させ、世界を破壊してしまう。
「おまえが起こした不祥事を俺が何故解決しなければならない。それに、もうこの時代に『ムーが存在する』って事実がある以上、過去は変わらないのさ」
『やってみなきゃ、分からねえさ』
「なら、まずは俺を殺してみな」
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2012年 12月07日 (金) 14時19分
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