 |
蕪島−福島・松川浦700キロトレイル 環境省が検討
|
|
地域の魅力や課題について意見を出し合った東北海岸トレイルに関する意見交換会=2012年12月、八戸市ポータルミュージアム「はっち」 |
−PR−
|
三陸復興国立公園を核とした東日本大震災からの復興支援の一環で、環境省は八戸市蕪島から福島県相馬市松川浦までの海岸沿い約700キロに及ぶ仮称・東北海岸トレイル(遊歩道)のルートを検討している。八戸市をはじめ地域住民の意見を聞きながら、2015年度の全線開通を目指している。検討に歩調を合わせるように、ロングトレイル(長距離歩道)が雑誌で13年のヒット予測のトップに取り上げられるなどブームの兆しも。ルート整備による地域の観光振興、経済波及効果に、地元関係者は期待を寄せている。
▼東日本大震災の関連記事を見る
同省によると、日本のロングトレイルルートは北海道、長野、新潟、滋賀県など各地にある。数十キロから300キロ程度のコースを電車、バスなど交通機関も併用しながら、休日などを利用し、一定期間かけて数区間に分けて歩く方法が一般的。国内ルートのほとんどは、周辺に居住者が少ない山沿いだが、東北海岸トレイルは地域住民が住む海沿いを通るため、自然だけでなく人との触れ合いも期待できる。
昨年12月17日、八戸市ポータルミュージアム「はっち」で行った意見交換会には、市民団体のメンバーや観光、行政関係者ら約50人が参加し、同市から岩手県洋野町にかけての地域の魅力や課題を挙げ、自分たちができることを話し合った。
同市の東北巨木調査研究会の山本光一さんは「全国的にも珍しい、巨木を見るルートを」と提案。三沢市から参加した小川原湖自然楽校の相馬孝さんは「シーカヤックで、海から見る景観もすばらしい。陸に限らずルートを検討しては」と話した。意見交換会は岩手県大船渡市、田野畑村や、東京でも開かれた。
ロングトレイルの国内先進地では、住民の自発的活動や新たな産業も生まれている。長野、新潟両県境を通る全長約80キロの信越トレイルには、年間3万3千人(10年度推計値)が訪れ環境学習の場になっている。また、ルートを歩く人の車をゴール地点に回送するサービスや、有料のトレイルガイドサービスも誕生している。
ウオーキングやハイキングなどアウトドア系の趣味が裾野を広げる中、月刊情報誌の昨年12月号で「2013年ヒット予測ランキング」の1位に「日本流ロングトレイル」が選ばれた。選考基準は「これまでに無い新しい市場を創造する可能性」「消費者のライフスタイルが大きく変わる可能性」などで、高い評価を得たという。
種差観光協会の柳沢卓美会長は「情報拠点となるビジターセンターが種差に整備されれば、トレイルルートを歩く人たちも足を止めてくれるはず。これまでとは違った層の人にも足を運んでもらえる」と期待する。環境省自然環境計画課の中川春菜企画係長は、来訪者に対する防災教育の観点からも有用とし「そこに暮らす人たちに地域の魅力を再発見してもらうことも大事。即効性はないかもしれないが、長期的に良かったと思ってもらえるルートができれば」と話す。
県外限定!!「東奥日報電子版」 パソコンでその日の東奥日報がまるごと読めます 購読のご案内、申し込みはこちら >>クリック
|
|
|