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夜をさまよう「マクド難民」 - 軽減税率は導入されない
朝日の1/13の1面と2面に「夜をさまよう『マクド難民』」と見出しが打たれた記事が載っていた。大阪発の特集記事。難波駅の近くのマクドナルドの店には、午前0時過ぎに30-40代の手提げ袋を持った男たちが入ってきて、テーブルにうつぶせになって過ごすのだと言う。ネットカフェに泊まれば千円かかるが、マックなら1杯100円のコーヒーだけでずっといられる。深夜営業店がセーフティネットになり、そこで体を休めているのだ。彼らは携帯電話を持ち、それを命綱にして街を歩き、日雇いのアルバイトで食いつなぐ。昼はパチンコ店内のソファなどで仮眠をとり、夕方から街を歩いてスーパーで格安の惣菜を買ってビルの片隅で食べ、コンビニをはしごして暇を潰し、最後はマクドナルドに入って休む。つまり、路上テントに「定住」せず、街を放浪して生きているのだ。無理もないと言うか、こんな極寒の中で、路上でダンボール生活をしたらすぐに凍死してしまう。夏だと襲撃の危険がある。今なら、せめて深夜営業の店で暖をとった方が命を失うリスクを避けられる。しかしそれにしても、状況は悪化して、一晩千円のネットカフェにも泊まれなくなっていた。ネットカフェ難民が問題になったのは2007年のことで、確か国会で小池晃が質問し、厚労相だった舛添要一が答弁で調査を約束、政府が対策に動き出した経緯があった。湯浅誠の岩波新書にも登場する。あれから6年、ネットカフェ難民の言葉を聞かなくなったと思っていたら、こんな事態になっていた。


記事によれば、大阪は東京よりも住居費が安く生活しやすいため、全国から職探しの若者が流れ込み、府内で働く者の45%が非正規という、全国でも突出した数字になっている。まさに、浜口桂一郎などが理想視するところの、高い労働の流動性が大阪で実現されている。非正規が多く、単位期間の解雇件数が多いから、その分、見かけ上、雇用の募集件数が多くなる。そして生活費が安いから、東京で職を見つけられなかった若者が流れ込むのだ。また、シャープとかパナソニックとか、この1-2年に大量の人員整理に及んだメーカーがある。取材に登場する若者も、パナソニックの工場で請負をしていた35歳と、シャープの亀山で派遣をしていた40歳だ。パナソニックの工場を切られた35歳は、北海道の出身で、ITの専門学校を出た1997年、拓銀が破綻して地元に仕事がなくなり、やむなく大阪に出て非正規になった経歴の持ち主。北海道から大阪では、何かと苦労したことだろう。そう言えば、反貧困運動の指導者である湯浅誠は、最近はもっぱら大阪を拠点に活動しているらしく、トークイベント等の情報をTWで目にする機会が多いが、この大阪の貧困の現状に対して、何か行動を起こして事態改善に寄与しているという事実はあるのだろうか。ネットで目にする湯浅誠の最近の発言なるものは、全て三浦俊章よりも退屈な、安っぽい二流の政治評論ばかりだ。マスコミで小銭を稼ぐ政治評論家に化けるために、その階梯として反貧困の場を企画し、巧く利用していたのだろうか。

運動から足を洗ったのなら、「反貧困ネットワーク事務局長」という肩書きは捨てるべきだ。が、一向にそうした動きが見えないのは、「社会運動家」の肩書きを維持していた方が評論ビジネスを続ける上で都合がよく、また、すでに実体を失った「反貧困ネット」の運動の方も、世間で評判のいい有名人を御輿で担いでいた方が具合がいいという愚劣なWinWinの論理によるものなのだろう。この国から反貧困の運動は消滅し、救済されるべき「マクド難民」は放置されたまま顧みられない。少なくとも5年前までは、彼らはマックではなくネットカフェで夜を過ごす経済力を持っていた。一晩千円の資金的余裕を失い、一晩100円で過ごす極貧の経済環境に落ちてしまったということであり、国の貧困対策が何も効果を出していないということである。2007年のネットカフェ難民調査に続いて、貧困率の調査統計を出せと国に要求し、政権交代の機に行政の軌道に乗せる原動力になったのは湯浅誠だった。その後、内閣府参与に栄達して消費税増税賛成の世論工作に奔走する身となり、昨年の総選挙でも、解散の日の夜にNHKの番組に出演、増税への国民の理解を訴えていた。当時の湯浅誠の言い分は、国が貧困率を調査し公表すれば、国は必ず改善対策を方針化し、行政資源が投入されて事態はよくなるというものだった。しかし、政権交代で貧困率は発表されたが、貧困問題が改善したという状況にはなっていない。それどころか、一晩千円のネットカフェ難民が一晩100円のマクド難民に落魄していた。

そのマクド難民にも、消費税増税の災禍は襲いかかる。経済的強制の投網から逃げることはできない。湯浅誠も残酷な男だ。まるで嗜虐趣味で弱者を弄んでいるような。彼らが夕刻に買って腹を満たすスーパーの値引き後の惣菜も、深夜のマックのコーヒーも、消費税率が+3%、そして+5%上乗せされる。昨日(1/14)の報道を見ていると、あの大雪で都心の交通が麻痺した中を、わざわざ自公の幹部がオークラに集合し、消費税増税における軽減税率の協議で角突き合わせる場面があった。あんな大雪でも会議を強行するのだから、よほど決定まで時間がなく急を要していて、議論が胸突き八丁の難所に至っている事情が窺い知れる。また、両者の間の溝が深く、対立が深刻であることも分かる。結論を簡単に言えば、この協議で自民が折れることは絶対にない。軽減税率は導入されない。食料品の税率が低く抑えられるということはない。その理由を二つ言おう。一つは政治勢力の条件である。低所得者対策に熱心なのは、公明以外は、社民と共産と生活ぐらいだ。民主の中は、厳密には割れていて、政経塾組は自民と同じく不要を考えていて、執行部としても明確な主張が表に出ていない。維新とみんなは明確な不要論で、竹中平蔵的なネオリベ原理主義の税制を追求する立場である。海江田万里が軽減税率で発言しないのは、党内、そして野党内が両睨みの股裂き状態だからだろう。つまり、軽減税率に積極的なのは左側の少数派だ。右側の多数派は自己責任論であり、低所得者に重い負担を要求する立場だ。

したがって、国会の勢力状況を見れば、自民は突っ張れるのであり、公明の要求に易々と与する必要はない。7月の参院選を睨んだ妥協をどこまでという前提であり、+3%増税時点での軽減税率導入は蹴るだろう。一方、公明の方だが、+3%増税段階で軽減税率が見送りになれば、+5%増税段階でも導入される保障はないことを知っている。来年4月の+3%増率に伴って同時に措置するべく、この1年間の準備期間に行政が制度設計をしなければ、2015年10月の+5%増率時も見送られ、永久に制度導入されないことを公明は知っているのであり、それが自民と財務官僚の狙いであることを知っている。ということで二つ目の理由も示してしまったが、財務官僚の頭の中には最初から軽減税率、すなわち食料品など生活必需品の増税を除外する政策オプションはないのである。このことは、2年半前の2010年の参院選のときに、朝日の紙面記事に明確に書いてあった。消費税増税が争点になった2010年夏の参院選が、消費税増税が最も熱く論争された時期であり、賛否両論が激論され、還付の年収限度ラインとか、二重税率の事務的問題とか、低所得者対策の制度の中身がマスコミで詳しく議論された時期だった。このとき、財務官僚の本音(匿名リーク)を朝日の記者が紙面記事にしていて、インボイスの仕組みを整備するのが面倒だから、日本では絶対に二重税率は導入しないと言い切っていた。また、還付のために必要なマイナンバー制の導入も困難だと言っていた。財務官僚は最初から意思がないのだ。

実際、税と社会保障の三党合意が成立したのは昨年6月15日だ。半年前の決定だが、そこから低所得者対策の議論が始まったとか、官僚がインボイスやマイナンバーの制度施行に向けて作業中という情報を聞かない。公明は三党合意の当事者であり、本気で軽減税率を導入するなら、三党合意の直後に制度の準備を始めなくてはいけなかった。公明もどこまで本気か分からず、学会員向けの参院選対策のパフォーマンスの臭いが漂う。自民がこの交渉で強気なのは、維新と官僚の支持を押さえているだけでなく、公明の本気度を見透かしているからだろう。私の記憶では、朝日の2年半前の紙面記事では、官僚は、年収200万円以下の貧困層に年1-2万円の給付金を配って「低所得者還付」に代えたいと正直に語っていた。朝日の記者は、これが当局の神聖なる方針であるから、他のマスコミ報道や政治家の甘言に惑わされることなく、下々の国民はとくと心得よと言わんばかりに、嬉々とした筆調で官僚の既定路線を説明していた。要するに、軽減税率とか、インボイスとかマイナンバーとか、消費税増税の低所得者対策というのは、官僚と政治家が演技し、マスコミに撒いているネタでしかない。政策ネタであり、国民の増税への反発を弛緩し吸収するための世論工作の材料だ。12月の総選挙で不思議だったのは、国民の負担が苦しいという議論が全く出なかったことだ。逆だった。国民はもっと負担すべきという話ばかりで、国民が負担を渋るから日本の社会保障が充実しないのだという話になっていた。湯浅誠が率先してそう言っていた。

3年半前の衆院選のときは、湯浅誠は、日本の労働者は負担が重すぎると訴えていた。よく覚えている。先進国の中で日本は負担率が高すぎると。参与になった後、湯浅誠は逆のことを言い出した。私は狐につままれた気分になるが、他の人たちはそうではないようで、相変わらずTWで、「さすがに湯浅さんはいいことを言う」とか、「湯浅さんの政策は現実的で説得力がある」とか、「湯浅さんはアホな左翼と違って認識がリアルだ」という評価が流れている。何を言っても英雄の言として賞賛される。湯浅誠は、政府にとって願ってもないヒーローだろう。


by thessalonike5 | 2013-01-15 23:30 | Trackback | Comments(1)
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Commented by とらよし at 2013-01-15 21:40 x
マックのコーヒー・ハンバーガーに課せられるのは消費税増税分だけではないでしょう。昨年の12月16日以降、円安は落ち着くところを見せません。
輸入仕入原価高とかなんとかで、実質の値上げも有り得るかと。
ドルもユーロも、昨年の最高値(確か9月頃)と比較すれば、現在は2割安です。
円高が輸出産業に不利なのは理解できるけれど、輸入で恩恵を得ていた我が社のような企業だって少なくないはず。
やれ円高だ、何とかしろ!と言っていた企業に倣い、マックも円安を何とかしろ!と言ってくれるでしょうか?(無い!無い!)
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