東証1万円:海外投資家の期待集め 上昇急激、過熱感も

毎日新聞 2012年12月19日 20時55分(最終更新 12月20日 00時44分)

今年の日経平均株価の推移
今年の日経平均株価の推移

 東京株式市場で日経平均株価が1万円台を回復したのは、売買代金の7割弱を占める外国人投資家が、新政権の金融・経済政策を材料に日本株を買い進めているためだ。例年なら海外勢がクリスマス休暇に入り、売買が減る時期だが、「日本株を持たざるリスク」を意識した売買が膨らんでいる。市場では、当面は株高が持続するとの見方が多いが、新政権の政策運営や世界経済の情勢次第で、いったん株価が下落に転じるとの指摘もある。

 野田佳彦首相が衆院解散方針を発表した11月14日以降、海外勢は新政権への期待感から日本株を買い進めた。衆院選で自民党が圧勝すると、安倍晋三総裁が日銀への金融緩和圧力を強めるとの見方が一段と強まり、日銀が来年1月にかけて追加緩和に踏み切るとの観測が浸透。円安や株高の進行に伴い、それまで日本に目を向けなかった投資家の資金が流入し、一段の株高が進むようになった。

 東証によると、11月2週目(12〜16日)から4週連続で、売る株より買う株が多い「買い越し」が続いている。衆院選以降も、様子見姿勢が強かった長期保有目的の海外勢が買い注文を出しているとみられ、「年内に、今年の最高値(1万255円15銭)を更新する可能性がある」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏)との声も出ている。

 とはいえ、日経平均株価は先月14日の終値(8664円73銭)から1カ月余りで17.2%も上昇。過熱感から、いったん調整に入ってもおかしくない局面だ。このため、新政権の経済政策運営次第で株価が下落に転じるとの見方もある。

 市場は現在、自民、公明両党が10兆円規模の補正予算案を編成する方針を打ち出したことに対し、「景気浮揚につながる」と好感している模様だ。ただ、財政の持続可能性に疑問符が付けば、株安や債券安などの「日本売り」を招きかねない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「国債を大量増発すれば、長期金利が上昇(国債価格は下落)し、格下げリスクにつながる」と話す。

 外交や海外経済の先行きも気がかりだ。最近は欧州債務問題も落ち着いているが、SMBC日興証券の阪上亮太氏は「2月に予定されるイタリア総選挙が混乱すれば、欧州危機の再燃が意識される」と指摘。「領土問題で日中関係が悪化すれば、輸出企業を中心に業績が下振れする」(秋野氏)との懸念もある。【浜中慎哉】

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