韓国大統領選:朴槿恵氏が当選 女性初、親子2代
毎日新聞 2012年12月19日 22時46分(最終更新 12月20日 01時14分)
【ソウル西脇真一、澤田克己】韓国大統領選挙が19日投開票され、大接戦の末、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)氏(60)が最大野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏(59)を破り、当選を決めた。東アジアで最初の女性大統領で、60〜70年代にかけて政権を握った父、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領に続き初の親子2代の大統領が誕生する。前回選挙で10年ぶりに復活した保守政権は維持された。朴氏は政治家としての豊富な経験を持つことから「準備された女性大統領」をキャッチフレーズに、急激な変革より安定感を望む有権者の支持を集めた。来年2月25日に就任する。
中央選挙管理委員会によると、20日午前1時10分(日本時間同)現在、朴氏は文氏に約109万票の差をつけている。
朴氏は19日深夜、ソウル都心の広場に集まった支持者を前に「心から感謝している。危機を克服し、経済をよみがえらせることを熱望する国民の気持ちの勝利だ」と語った。李明博(イ・ミョンバク)大統領も朴氏に電話をかけ、当選を祝福した。
一方、文氏は民主統合党本部で「新しい政治を望む皆さんとの約束を守れなかった。国民の皆さんも朴氏を声援してほしい」と敗北を宣言した。
選挙期間中の12日、北朝鮮は「人工衛星打ち上げ」名目で事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行。朴氏は「韓国だけでなく世界に対する挑発だ」などと、北朝鮮の姿勢を強く批判した。ただ、選挙戦を通じ朴氏は「南北対話に前提条件はない。必要なら首脳会談にも応じる」と述べるなど、現政権で悪化した南北関係の改善の必要性を認めてきた。
外交ブレーンも「北朝鮮へのメッセージが制裁一辺倒で良いのか」と指摘する。朴氏は「南北間での信頼構築」を通じて、人道支援や交流を強化して信頼関係を高めると表明。両国の代表部の役割を果たす南北交流協力事務所をソウルと平壌に設置するとしている。
一方、旧日本軍による従軍慰安婦問題や、李大統領の竹島(韓国名・独島=ドクト)上陸で最悪の状態となった日韓関係の改善も課題だ。朴氏は「独島は協議対象ではない」と韓国の立場を強調しつつ、基本的に関係改善に積極姿勢を見せている。