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税制改正は個人の活力をそがないように

2013/1/16付
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 自民、公明両党が2015年1月から、所得税と相続税の最高税率を引き上げることで合意した。富裕層の課税強化で経済格差の拡大に一定の歯止めをかけ、14年度からの消費増税に対する低所得層の不満を和らげるのが狙いだ。

 格差が広がっているのは確かであり、社会保障制度の改革を中心に所得再分配のあり方を見直す時期にきている。しかし所得税の増税については慎重な検討が要る。個人の活力をそがぬよう、細心の注意を払ってほしい。

 消費税率を5%から10%に引き上げると、所得が少ない人の負担が相対的に重くなる。こうした低所得層との公平性を保つため、富裕層の課税強化を併せて検討することが法律で決まっていた。

 自民、公明両党はこれを踏まえ、所得税の最高税率を40%から45%、相続税の最高税率を50%から55%に引き上げる方針を固めた。民主党との3党協議を経て、13年度税制改正に盛り込む方向だ。

 所得の高い人により多くの負担を求める所得税の役割は欠かせない。総合的な観点から適正な課税のあり方を考える必要がある。

 だが所得税と住民税を合わせた最高税率が55%と、課税所得の半分を超えてしまうのはどうか。勤労や起業の意欲をそぎかねないとの指摘も出ている。新たな税率の適用対象は今後詰めるが、増税の影響を極力抑えるのが望ましい。

 民主党政権下の12年度税制改正では、年収の高いサラリーマンの給与所得控除に上限を設けた。負担能力があって所得税を取りやすいという理由で、富裕層だけに負担を強いるのは疑問が残る。

 東日本大震災の復興費を賄う所得税の増税が今月から始まった。こうした点にも配慮しながら、所得税の改正を進めてほしい。

 ただ日本の財政を立て直すにはある程度の税収を確保せざるを得ない。資産を持つ人に一定の負担を求める相続税の課税強化はやむを得ないだろう。高齢者の金融資産を子や孫に移し、消費や住宅投資を促すような贈与税減税と合わせて実施するなら意味があろう。

 自民、公明両党は相続税の最高税率引き上げだけでなく、相続財産から差し引ける「基礎控除」の縮小も検討している。その際には地価の高い都市部の住民の負担が重くなりすぎないよう注意すべきだ。中小企業のオーナーが後継者に事業を引き継がせる際の妨げにならないような配慮も必要だ。

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