雨男 ※未完
はー、漏れちゃう漏れちゃう。
何が漏れるかって?なんでしょう。ぐふふふふ。
目の前には熊のような風貌の巨漢。
右手には傘、左手にはお土産袋。
彼に会うとき、僕が両手に持っているものといえば、いつもこの組み合わせだった気がする。
飛行機に乗って1時間。
月に1回、この雨男に会いに行く。
会うたびに彼は、申し訳なさそうな表情で僕を駅まで迎えに来てくれる。
「今日も雨でごめんね」
「なんでだよ、お前のせいじゃないって。」
このやりとりが挨拶代わり。
会えて嬉しい気持ちを隠しながら、少ない時間のデートを楽しむ。
嬉しすぎて泣きたい気持ちも、また離れなくちゃいけないという悲しい気持ちも、
涙にするわけにはいかない。
だから僕は、この気持ちが涙になる前に、空に返すんだ。
そう、この雨を降らせている犯人は、私です。
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