中国、メディアで連日の“戦争指示” 日本は宮古島市にF15常駐検討

2013.01.15


中国の習近平指導部は尖閣諸島強奪に向け、戦争準備を始めたのか【拡大】

 中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に対し、2013年の任務について「戦争の準備をせよ」との指示を出していることが明らかになった。14日付の軍機関紙「解放軍報」などが伝えた。中国の主要メディアも、沖縄県・尖閣諸島をめぐる軍事衝突を想定した番組を連日放送しているという。一方、日本の防衛省は、中国機による尖閣周辺での領空侵犯に対処するため、同県宮古島市の下地島空港にF15戦闘機を常駐させる案の検討を始めた。

 解放軍報によれば、総参謀部が全軍に向けて出した13年の「軍事訓練に関する指示」の中で、「戦争準備をしっかりと行い、実戦に対応できるよう部隊の訓練の困難度を高め、厳しく行うこと」と記されている。総参謀部は昨年も訓練指示を出していたが、今年のような戦争を直接連想させる表現はなかった。

 同紙は今年の訓練目標について、昨年11月に就任した習近平・中央軍事委員会主席(総書記)の重要指示に基づいて作成したと解説している。

 国営中央テレビ(CCTV)など官製メディアも今年に入り、日本との戦争を想定した特集番組を連日放送し、軍事的緊張感をあおっている。

 対日強硬派として知られる中国軍事科学学会の副秘書長、羅援少将や、元海軍戦略研究所長の尹卓少将ら多くの軍関係者がメディアに出演し、主戦論を繰り広げる一方、日本と外交交渉を通じて尖閣問題の解決を主張する学者らはほとんど呼ばれなくなったという。

 こうしたなか、防衛省は尖閣諸島の警備態勢を強化するため、下地島空港にF15戦闘機を常駐させる案を検討している。

 現在の防空拠点となっている航空自衛隊那覇基地(那覇市)は尖閣までは約420キロあり、F15が緊急発進しても到着まで15〜20分かかるとされる。下地島空港は尖閣まで約190キロと近いうえ、3000メートルの滑走路があり、防衛省は「利用価値は非常に高い」(幹部)と評価している。

 昨年12月に中国機が尖閣周辺の領空を侵犯した際、空自は那覇基地からF15戦闘機8機を緊急発進させたが、到着時には中国機は領空を出ていた。安倍晋三首相は今月5日、防衛省幹部らに領空・領海の警備態勢の徹底を指示。防衛省は具体策の検討に着手した。

 ただ、日本政府は下地島空港について、沖縄返還前で米軍統治下の1971年に当時の琉球政府の屋良朝苗主席と「民間航空以外の目的で使用しない」とする覚書を締結。沖縄の本土復帰後、西銘順治知事とも同様の確認書を交わした経緯があり、地元との調整が必要となる。

 中国は最近、「日本は琉球(=沖縄)を中国から強奪した」と主張し始めており、尖閣が奪われれば八重山列島や宮古列島だけでなく、沖縄本島まで覇権を広げてくる可能性がある。

 ある日本研究者によると、最近北京で行われた尖閣問題に関するシンポジウムで「論争の中心は対日戦争を小規模にとどめるか、全面戦争に突入するかが焦点になりつつある。小規模戦争を主張する人はハト派と呼ばれ、批判されるようになった」という。

 中国は、尖閣をきっかけに、日本を新たなチベットや新疆ウイグルのようにする気なのか。