できごと【過剰指導の悲劇 桜宮高2自殺(上)】夢打ち砕いた暴力 「愛ある体罰」という幻想+(2/3ページ)(2013.1.13 10:51

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できごと

【過剰指導の悲劇 桜宮高2自殺(上)】
夢打ち砕いた暴力 「愛ある体罰」という幻想

2013.1.13 10:51 (2/3ページ)体罰問題
自殺した生徒の遺族に面会した後、沈痛な面持ちで記者団の取材に応じる橋下徹大阪市長=12日午後、大阪市内(大塚聡彦撮影)

自殺した生徒の遺族に面会した後、沈痛な面持ちで記者団の取材に応じる橋下徹大阪市長=12日午後、大阪市内(大塚聡彦撮影)

 同部は、全国大会準優勝の経験もある強豪で、入部当初には学校側から保護者に「指導には一切口を出さないで」と要請があった。昌輝さんは1年のときから頭角を現したが、当時の監督やコーチから「使えない」といった暴言や、殴る蹴るの暴力をたびたび受けた。

 昌輝さんは過呼吸を発症。けい子さんは部側に春合宿の不参加を伝えたが、参加を催促する電話があった。昌輝さんが自殺したのは、その直後だった。

 強豪校の重圧、繰り返される体罰、断たれる退路。自殺した桜宮高の生徒は、昌輝さんと同じような思いを抱いたのかもしれない。

 「スポーツ強豪校では、指導者に従うのは当たり前だった」。けい子さんは「暴力や暴言の指導は生徒を精神的に傷つけ、追い詰める。特にまじめな子は傷が深いんです」と訴える。

「熱血指導」の果てに…

 桜宮高の生徒も責任感が強いタイプだった。青少年心理に詳しい六甲カウンセリング研究所(兵庫県西宮市)の井上敏明所長は、顧問の行動を「指導ではなくいじめだ」と断じる。

 生徒の自殺後、顧問は大阪市教委の聞き取りに、この生徒には「厳しすぎたと思う」と話す一方、体罰そのものについては「生徒が良い方向に向かう実感があった」として「必要だと思う」と答えたという。

 これに対し、関西大の黒田勇教授(スポーツ社会学)は「暴力は教育の失敗。たたく指導者は未熟だし、プロではない。体罰に愛情があればいいというのは幻想だ」と指弾する。

 「熱血指導者」との評判もあった顧問。部OBの証言によると、顧問は少なくとも約10年前から部員への体罰を行っていた。卒業生の一部には「熱意ある指導をしていた」として処分の軽減を求める嘆願書提出を検討する動きもあるが、生徒が死を選ばざるを得なかった結果は、あまりに重い。

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