'13/1/10
三次鳥瞰図の現物見つかる
80年余り前の三次の街の様子を描いた鳥瞰(ちょうかん)図が、三次市三次町の農機具販売業藤井茂さん(78)方で見つかった。色彩は鮮やかなままで、専門家も「当時を知る貴重な資料」としている。
鳥瞰図は、大正から昭和時代に活躍した絵師の吉田初三郎(1884〜1955年)の作。縦53センチ、横235センチの絹地に肉筆で描いている。街並みを南側上空から見た構図。城下町の風情が残る三次町を中央に配置し、東は富士山と東京、西は韓国・釜山まで、色彩豊かに描いている。
画面では、尾関山公園の桜と、夏の風物詩「三次の鵜飼(うかい)」が共演。実際にはあり得ない取り合わせも特徴だ。
当時の町商工会からの依頼で1931(昭和6)年に描いたとされる。商工会長だった藤井さんの祖父が蔵に保管していた。これまで複製はあったが、現物の存在は確認されていなかった。
吉田に関する著書もある研究家の益田啓一郎さん(46)=福岡市博多区=は「昭和初期に三次を訪問した際に描いたようだ。きれいに保存され、当時の暮らしを知る上でも貴重な資料」と指摘する。
広島三次ワイナリー(三次市東酒屋町)の文化交流館で20日まで、原寸大の複製を展示している。
【写真説明】80年余り前に描かれたとされる鳥瞰図を広げる藤井さん