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知事選だけじゃない 山形の首長選、無投票なぜ多い?
山形県知事選は告示日の10日、無投票で現職吉村美栄子氏(61)の再選が決まった。知事選では全国的に異例の無投票だが、山形県内の市町村長選では最近、無投票が目立っており、知事選との共通点もささやかれている。ではなぜ無投票が多いのか? 県内の関係者に聞いてみると、自治体の財政難や政党の変化、山形の県民性などが背景から見えてくる。
県内で昨年、首長選が実施されたのは表の12市町で、このうち10市町が無投票だった。いずれも現職が再選、あるいは3選した選挙で、新人が無投票当選したケースはなかった。 無投票選挙が多い理由について、「堅実で冒険したがらない山形の県民性が大きいのでは」と見るのはある地方議員。「(地域全体が)現状に満足し『もっといい首長を』という、貪欲さに欠ける」と分析する。 最上地方の地方議員は県内の政治風土に言及し、「なるべく争いを起こさない。無理してまで戦わない雰囲気、気質があるように感じる」と印象を語った。 「共産党による対立候補の擁立が他県と比べて少ない」と指摘するのは元県幹部。県内では共産党が現職首長を支持するケースがあり、今回の知事選でも同党は「現職支援」という山形ならではの対応を取った。 対して共産党の本間和也県委員長は、自民党の政治力低下を無投票選挙の増加と結び付ける。「公共事業が減り、地方で自民党政治が通用しにくくなっている。だから、自民党に首長選で候補を立てる力がなくなっている」との解説だ。 2011年9月に無投票で再選された新庄市の山尾順紀市長は、地方自治の現状に触れながら持論を展開する。「(首長によって)政策的な幅を出しにくい時代だ。制度が成熟し、少子高齢化という共通の背景もあり、政策論争が難しい。一点集中の争点ならともかく、全体として(主張が)似通ってしまう」 同様の見方をするのは山形市議会の加藤孝議長。「自主財源の比率が低い中、首長が変わっても目新しい政策を打ち出すことが困難になっている」と、現職との対立軸を打ち出しにくい事情を説明する。 地方行政に詳しい東北文教大(山形市)の大川健嗣教授(農業経済学)は「財政が豊かな時代であれば『私はこれをやる』と対立点を挙げて戦うことが可能だが、いまは限られた財源の組み替えぐらいしかできない。明らかに欠点や問題がある首長が相手でないと、選挙で戦いにくいのでは」との見解を示す。
2013年01月13日日曜日
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