• 『ロード』 蒼き流星 希望への架け橋 ダイジェスト6
  • ※これは「流星のロックマン」というゲームの二次創作です。あらかじめご了承ください





















     ギーラは電波障壁を展開させながら拳を突き出す。ギーラを突破しなければ時空間移動は止められない。ならば、シルバー・ウィンドが出来るのはすぐにデリートすることだけ。

    『バーストウィンド!』

     必殺の一撃を繰り出す銀色の剣士。けれどギーラはしなない。間一髪のところで避け続ける。

    「どうしたウィンド? キリュウがいないとその様か?」
    『俺たちのカラクリを、おまえは知っているのか?』
    「子供だましだ、そんなもん」

     いくら斬りかかろうと、風で切り刻もうとするも、ギーラには届かない。ギーラの戦闘力はシルバー・ウィンドほどではない。だが防御に回られたら勝てない。電波障壁と、彼の先読みが全てを意味の無いものと化してしまう。

    「ゲームオーバーだ」

     その間に時空間移動が完了してしまう。現在は、やはり過去があって成り立つもの。その過去を変えることは、誰にだって出来ない。シルバー・ウィンドでさえも。

    「じゃあな。今度はニホンで会おうか」勝利した研究者は、敗北したシルバー・ウィンドにそういい残し、去っていく。シルバー・ウィンドは追わない。彼だけでは勝てない。

    『今度はキリュウと俺で、おまえを殺す……』



     再びニホン、夜10時に差し掛かったところでルナルナ団全員にメールが届く。宛名は白金ルナ。《ちょっと今からコダマ小学校の屋上にに来てくれないかしら?》
     30分後には全員が集合した。スバルがいなくなってから、皆がその傷を癒せないまま一週間が過ぎようとしていた。誰も顔を上げない。そんな中でルナは言うのだった。

    「ねえ、わたしたちはこのままでいいの?」

     彼女も傷がいえていない中で、けれど気丈にも顔をあげた。

    「わたしたちは、この世界が今危ない状況になっているなかで、何か行動を起こさなきゃいけないんじゃなくて?」

     誰もルナに対して意見を言わない。構わずルナは続ける。

    「わたしや、キザマロは闘うことは出来ない。でもミソラちゃんたちやゴンタ、ツカサくんやジャックは闘えるのよね? だったら──」
    「だったら戦えってか? 自分だけ安全な場所にいてそういうのか、おまえは?」

     ジャックはルナに怒りを向け半ば強引に黙らせる。

    「スバルが死んで悲しいさ! 今にもまた涙が出ちまいそうだ! だけど、だけどうだうだしているのはそれだけじゃねえ。俺も、また戦えばスバルと同じように死んでしまうかもしれねえって思っちまうんだよ……!」

     だから戦えない。もう立ち上がれない。死にたくない。今まで忘れていた、恐怖が身を凍てつかせる。一度闇に堕ち、そこから日向に這い上がってきた少年でさえ、死は怖い。

    「だから、もうあいつの死を思い出させるのはやめてくれよ……! 俺がまた戦わなくちゃいけないって思わなくなる。もう、もうそんなのは嫌なんだよ!」

     それっきり、ジャックは黙り込んだ。数分が経過し、徐々に集まった人間は再度自分達の家へと戻っていく。スバルの死、それは回りに悲しみを与えるだけでなく、彼と同じように戦わなければいけないという重圧と、彼と同じように死んでしまうのではないかという恐怖を、与えた。


    ■8月10日


     ロードと名乗る組織が宣告したとおり、世界各地のサテラポリスが襲撃を受ける。万全な防御体制を作り上げていたのにもかかわらず、各支部は次々に陥落していく。
     唯一襲われなかったニホン支部が入手した情報は2つ。1つは敵の数は8体。2つ目は敵の能力について。確証はとることはできなかったが、敵はヘイトと同じ能力。つまり「人の感情を自分の力に変える能力」を持っているということ。

     ロードは大地全てを焦土にすることはしなかった。彼らの最初の目的は雑魚の排除であり、最大戦力が残っているニホンをあとから攻撃。そして最終的には負の感情に染まった無力な人類を抹殺するのではないかとヨイリーが推測した。

     午後7時、またもロードからのメッセージが届く。《明日こそは、ニホンを攻撃します。どうか、今日のような手ごたえの無い戦いにはしないでください。そしてこれはほんの遊びととって貰っても結構なのですが、明日は4体の電波人間がニホンに強襲します。4方向からニホン支部に向かっていくので、それを迎撃してくださいね》

     アメロッパ本部が出せる戦力とニホン支部の戦力を合わせれば2万。けれどヘイト以上の敵が4体現れればその数でもおそらくは足りない。ギーラはこの段階でまずシルバー・ウィンドの殲滅は先送りにすることに。

    「ミソラちゃんたちは……やはり戦えそうに無いわね」

     貴重な電波人間いない以上、戦力は大幅に落ちる。

    「シルバー・ウィンドや、あの覇神コーポレーションが協力してくれれば……」
    「それは無理でしょう」

     ギーラがヨイリーの呟きを否定する。まるで最初から答えなど分かっているかのように。「この戦力で戦います」ギーラは全員に告げる。「また、アメロッパからは対シルバー・ウィンド用の兵器もニホンに搬入した」ことも報告。しかるべき時が来たならば使用することを約束する。

     午後1時ごろにサテラポリス、WAXA周辺30キロに住む人間に避難勧告。すぐさま人々は出来るだけ遠い場所へと避難することに。大吾も塞ぎこんでしまったあかねと一旦サテラポリスから離れる。
  • 2012年 12月07日 (金) 14時20分
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