特集:死刑囚の生活空間公開 「その日」までの生 医療設備充実、「スタミナ焼き」人気
毎日新聞 2013年01月14日 東京朝刊
他に特徴的なものでは、札幌の規程には「刑の確定後、速やかに提出させる」と定めた「申立書」のフォーマットが付けられており、そこには▽刑執行時の連絡先▽遺骨の引き渡し先▽所持金の引き渡し先▽遺言−−の記入欄がある。同様の「申告書」のフォーマットは福岡の規程にも付けられ、刑執行後は▽遺体を特定の人に引き渡す▽火葬してから遺骨を特定の人に引き渡す▽一切を拘置所に任せる−−との選択肢が挙げられている。
誕生日に関する特別な措置が規定されているケースも多い。大阪の規程では「誕生月には嗜好(しこう)品を支給する」、広島の規程には「誕生月には誕生会を行い、嗜好品を支給できる」、福岡の規程は「誕生月下旬に居室で誕生会を行わせる」とルール化している。
上部組織の法務省矯正局によると、嗜好品は主にケーキ類で民間団体から差し入れられ、誕生会には通常とは別枠で特別にテレビを視聴させているという。
名古屋の死刑確定者用「所内生活のしおり」は、冒頭に「おそらく、家族のことやその他いろいろと心配や悩み事がたくさんあると思いますが、いたずらに悩み焦ることなく、落ち着いて生活してください」と記載。1日のスケジュールや生活ルールについて、全て平仮名の読み仮名付きで説明している。食事や就寝の際に、居室内で座ったり寝たりする位置や向きは図説され、字の読めない人でも視覚的に日常生活のルールが理解できるよう工夫されている。
ルールに違反した場合は、書籍閲覧の停止や「閉居罰(居室で謹慎させられ面会や手紙が停止される)」などの罰があるとも説明。一方で「人命を救助」したり「特にほめられる行為があった」りした場合には「賞」を与えるとしている。「賞」は刑事収容施設法などで規定され、賞状や1万円以下の賞金などがあるという。ただし、法務省矯正局は「現実には死刑囚に授与される機会はあまりないと思われる」と話している。
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◇開示文書一覧(計21件167枚)
※文書名の後のカッコ内は施行年月
<札幌矯正管区・札幌刑務所札幌拘置支所>=3件19枚
「死刑確定者処遇規程」(07年11月)17枚▽前記規程の一部改正(07年12月)1枚▽同(10年6月)1枚
<仙台矯正管区・宮城刑務所仙台拘置支所>=2件28枚
「死刑確定者処遇規程」(09年3月)5枚▽「被収容者の外部交通」(12年7月)23枚