2004/3/9

カスティリアの女王

 カステラといえば、文明堂。いえいえ、カスティリアの女王といえば、イサベル女王が有名です。アメリカ大陸の発見者(と、世界史の教科書に書いてある)コロンブスのスポンサーとして知られている人ですが、大した女傑で、大物おばさんです。
 しかし、気安く「おばさん」なんて呼ばせる雰囲気のない人なんですね。人にそう呼ばせるスキのない、自分の目一杯の枠の中で出来る最上のことをしている、・・早い話が余裕のない女なのよ。きっと山羊座のA型でしょう。いや、あの、やたら自己を向上させようとする努力型の実践人間であるところを見ると、0型かもしれませぬ。どちらにしても気詰まりな気分にさせる女よねえ。あたし、こうゆうの苦手なんですわあ。何事にも完璧主義の山の手の奥様風の女はすかんのじゃ。あたしは、芦屋夫人でも北摂マダムでもないし、ましてやマイドンナなんかじゃないも〜ん。
 こういう女を妻にしている男ってえのは、妻に一目置きつつも、息抜きの浮気をするんですよ。で、イサベルのダンナのフェルナンドさんも妻の侍女あたりとよろしくやっとった。そして、イサベルはその浮気を知りつつ、見ないふりのそーめーな妻を演じ続けた(だろう)とはいえ、この2人は、王家の夫婦には珍しく生涯を通じて友好関係を維持したカップルでありました。2人はともに、統一スペイン前のアラゴンとカスティリアの王子と王女であり、年齢も同じくらいなら、支配者としての力量もチョボチョボで、外交官フェルナンドと、行政官イサベルのよいパートナーであったやに思われます。
 さて、こうしたイサベルは、母としても完璧人間であったと思われますが、こういったご立派な母親に、どうしようもない娘が生まれるのよね。それが、本編の主人公、カスティリアの女王ファーナ(そうです。今までのは前書きなの)。
 イサベルとフェルナンドの間には1男4女が生まれ、それぞれ、いいとこにお嫁に行ったり、もらったりして、スペイン王家をヨーロッパ中と親戚関係とするべく、政略結婚にいそしんでおります。
 ちなみに有名なところで、4女カタリーナ(英名でキャサリン)の嫁ぎ先はイギリスのアーサーで、夫の死後、弟のヘンリーと再婚しました。このヘンリーが世に名高いちょうちんブルマーの君!妻殺しのヘンリー8世その人なの。このキャサリンの侍女のアン・ブリンが産んだヘンリーの子供が、満月カラーのエリザベスですよ。ね、ヨーロッパ王室は親戚だらけなの(?)。
 ファーナのことに話を戻すと、彼女はイサベルの2女で、結婚相手に選ばれたのは、神聖ローマ皇帝マクシミリアンの長男ブルゴーニュ公フィリップです。
 この人は、もちろん美男で(フィリップという名前の男は美男に決まっています。美しくないフィリップなんて認めません!)、当然のことながら、女たらしのええかげんな男。しつけ厳しい母イサベルの元に育った、純情可憐なファーナ姫に男を見る目はなく、花婿の見かけのよさにコロっとだまされ、首ったけになってしまった。ここにファーナの悲劇は始まるのです。
 だいたい女は男に狂うとロクなことはないのよ。惚れさせてこそなんぼのもんです。それも、まじめーな女が真剣に惚れると、思いつめて、自らも破滅の道にまで向かう顛末になるんですよ。彼女の場合、男も悪すぎる。誠実さのない男はいけません。しかも、年中浮気をして、妻を嫉妬に狂わせつつ、6人もの子供をつくっとるんだから、まあ、なんともずるい男よのお。フィリップは、そういう男だけど、ファーナの方はひたすら、こんなええ加減な男だけを一途に愛し、周囲の忠告にも耳を傾けず、母の言葉すら、自分と夫を引き裂く悪魔の声としか聞こえなかったのです。更に、出口のない愛の抗争が、ついに彼女を、狂気へと駆り立てたのです。
 結局、彼女は実に50年近くも、事実上の幽閉生活。母の跡を継ぎましたが、人前に姿の見せることのない、名のみのカスティリア女王でありました。なんとも哀れな人生ではありませんか。
 特に、夫の死後、棺とともにカスティリアの荒野を彷徨った彼女の姿は痛ましいの一語に過ぎます。彼女に、母イサベルの強さが、ひとかけらでもあればと思うが、これも、全ては、もとはといえば男が悪い。フィリップの美貌が悪いのじゃ〜。
 男も女も、美しすぎるのは禍の元。でも、禍は禍でも、美しいのは・・・やっぱり、わたいも美男は好きよ。(H)
 
 ところで、こんな挿絵を入れて、いまどきジャンゴなんて知ってる人いる?(H)
 いるでしょう? マカロニウエスタンは一時代を築いたよ。歴史的文化だよ。(F)




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