「姉と弟」シリーズ!? ついに中華帝国!
 
2004/3/31
姉と弟ー中国編
さすがに大中国! 姉と弟もすごいのがいます。「漢王朝」帝室の姉と弟。世界の最高権力者を弟に持つとなれば、姉もタダものではない・・・・・。


館陶長公主と景帝
 
 呂氏の一族の専横や呉楚七国の乱などがおさまって国家の体制がようやく安定してきた漢の王朝。
 名君文帝の跡を継いだ景帝の時代から話は始まります。
 景帝は、長男の劉栄を皇太子にしていましたが、誰も皇后にたてようとはしませんでした。
 皇太子の生母である栗姫は、当然、自分が皇后になれるものと思っていますから、いつまでも沙汰がないのには心穏やかではありません。皇帝は誰か別の女を皇后にするつもりではないかと疑い、誰彼れなく、全ての女を陰険な目つきで見るので、宮女たちにも嫌われていた。しかも、最も気に入らないのが、帝に次々と新しい女を紹介しているというウワサの景帝の同母姉館陶長公主。皇帝の姉という特権で、後宮に出入りし、大きな顔をしているのが我慢ならない。
 息子の皇太子妃に館陶長公主の娘陳氏はどうかという話が出たときに、栗姫は「女衒の娘が皇太子妃になれるものか! しかもあの娘は婚約者がありながら、乗り換えようとは、とんだあばずれじゃ!」などどののしってしまった。
 これが、後宮中張り巡らされていた女のネットワークにひっかかって、当の館陶長公主に耳に入ったから、たまりません。「おのれ! 息子が皇太子だからといってのぼせ上がりおって! 息子を皇太子の座から引きずり下ろして、お前にも目にモノみせてくれるわ!」と怒り心頭。ですが、そこは、生まれながらの貴婦人の貫禄。これっぱかりも表に出しません。なにしろ、栗姫は皇帝の寵姫かもしれませんが、自分は血のつながった姉。弟の性格を見抜いていて、どんなことを嫌い、どんなことに腹を立てるのかってことなんか、子供のときからちゃんと知っている。色々な手を打ってチャンスを待った。
 そして、切り札にしたのが、栗姫が自分の娘の婚約者と言った劉徹。そうです、劉徹は、他にもたくさんいる皇子の一人ですが、まだ幼いので跡継ぎ候補でも何でもなかった。ただ、長公主の娘と幼馴染で、よく遊んでいたので、冗談で「ボク大きくなったら嬌ちゃんをお嫁さんにして、黄金の家に住む」といっていたことが外部に知られていただけ。生母の王夫人も、おっとりとして人当たりがよく、女たちの評判も上々。長公主としてもあしらいやすい。
 そして長公主は決意したのです。「いいわ。おばちゃまは、嬌ちゃんを徹クンのお嫁さんにして、2人を皇帝と皇后として黄金の宮殿に住まわせてあげましょう」。
 そして、ある時、皇帝が病気になった。好機到来! しおらしい姉然として見舞いに参上し、涙ながらに「あなたに万一のことがあったら私たちはどうなるのでしょう? それに大勢の幼い皇子方も不安です。ですから、御生母様の栗姫さまに、くれぐれも私たちや皇子方の面倒を見て下さいとお願いしておいて下さいね。」などとかき口説いたのです。
 これを心にとどめていた皇帝は、栗姫をたずねた折に、この話を持ち出すのだけれど、ものすご〜く不機嫌で、精神状態も最悪だった栗姫は「なんであたしが、他の女の産んだあんたの子供の面倒なんかみなけりゃなんないのよ! それに、あの高慢ちきな色後家の義姉さんの相手までしろですって!? 冗談じゃないわよ! あんたとは姉弟でもあたしにとっちゃ、はた迷惑な女なのよ!」なんて・・・皇帝陛下相手にここまでは言わないだろうけど、意味としては、こんなことをわめき倒したと思う・・。
 なんせ、栗姫はその日、最高に機嫌が悪かった。上等のスカートは、食器が割れたおかげでスープでどろどろになるし、お気に入りの靴は、犬がかんでぐちゃぐちゃ、晴れ着は袖が破れるしで散々! おまけに侍女どもは責任をなすりあいして、さっさと着替えも手伝わない! あったまにくるわ! と怒っていたんですけど、これが全て館陶長公主の陰謀とは、夢にも思わなかった。
 そうです、栗姫の身の回りはぜ〜んぶ長公主にツーカーの女たちで、せっせと女主人にイケズしていた。日ごろから癇癪持ちの栗姫は、侍女にもつらく当たって、すぐ殴ったりするので嫌われてた。つまり食器は暖かいものを入れれば割れるように細工してあったし、靴は犬小屋に投げ込んでおいて、晴れ着は縫い目が解いてあった。女の復讐はスゴイのよ。
 そして、ヒステリックな栗姫に、ほとほと手を焼いて、嫌気が差して、悶々としていた皇帝へのダメ押し。長公主は、タイミングを計って大臣たちに皇后冊立の上申をさせる。「陛下に皇后がおられないのは、姉としてとても心配です。ここは御生母の栗姫さまなどを皇后におたてになったら、わたくしも安心できますわ。」などと、これまたしおらしい姉ぶりに、事情を知らない朝廷の男どももだまされて、その通りの上申をしたんですね。それを聞いた皇帝は、頭に来てる上に、くそ面白くもないので、日ごろ温厚な皇帝にしては、珍しく機嫌をそこねて、「あんな女を皇后にできるか!」
 かくして、劉徹の生母の王夫人を皇后に立て、皇太子劉栄を廃嫡。こうして立太子したのが漢の「太陽王」劉14世、いや劉徹。漢の武帝です。
 
 平陽公主と武帝 付衛皇后と衛青
 
 この中国きっての名君にして、強引な武帝にしたって、即位した当初は16歳。即位させてあげたと自任している伯母の館陶長公主も口うるさいし、その娘で初恋の嬌ちゃんも、皇后になって権力を持つと、高慢でわがまま。扱いにくいことこの上ない。なにしろ、母の代からのお姫様なので、夫というものは、妻の言いなりになって当然と思っています。それに、うるさい女はまだいる。そう祖母の竇皇太后がまだ生きている。この女性もなかなか策謀にたけた人物で、なんと言っても彼の姑にして伯母の実母なのだもの。是はもう、たまったもんではない。けれど、そこは後の名君、武帝、ただの若造じゃない。じっとネコをかぶって忍耐していたのです。
 で、この武帝の実姉が平陽公主。彼女も、従姉妹の陳皇后(あ、館陶長公主のダンナは陳午という人なので、嬌ちゃんは陳氏です)が大きな顔をしているのが気に入らない。それにあんな高慢ちきな女を妻にして弟が可愛そう・・と本気になって同情していた?ので、「気晴らしにウチに遊びにいらっしゃい。綺麗な女の子も一杯いるわよ。たまには羽目をはずしてもいいんじゃない?」なんて、自宅に町中の美女を集めての大宴会に弟を招待したんですね。そして弟が目をつけたのが、公主おかかえの歌姫、つまり家妓の衛子夫という娘だった。若い皇帝は、早速にトイレでモノにして、宮中に連れて帰ってしまった。姉はあきれて、「まあ、せっかちなこと。私はもう少しマシな家の娘をと思っていたんだけど、衛子夫ならあたしのいいなりになるからいいかしら」と妥協します。
 この歌姫は、公主の家の女中の衛媼(衛ばあさん)がいろんな男を相手に産んだたくさんの子供たちの一人で、父親が誰だかわからないので衛という母の姓を名乗っているのです。
 ところが人間の運命とはわからないもので、この衛子夫が後に皇后となり、その弟衛青が、姉の七光りで武官に取り立てられたのに、才能があったのか、匈奴討伐で大功を立て、やがては大将軍に出世するんだから、世の中ってわからんもんだ。衛皇后の姉の1人が、霍という金持ちの妾になって子供を1人産んでいたけど、妹の七光りで、もっとマシな男をということで再婚し、貴族の奥様になった時に連れ子にしたのが霍去病。早死にしたことでも人気の高い天才将軍。
 そして、この一家と武帝の一家との絆は深い。なんと平陽公主は、衛青の妻になる! 彼女は、もともと建国の功臣曹参の一族と結婚していたけど、皇帝の娘だから、お相手には、気の弱い若君が選ばれていたんだけど、この夫は気だけじゃなく、身体も弱かった。病弱な夫なんて真っ平とばかり、離縁してしまって、強くて立派な男を捜したのね。そしたら、まわりには、もう、武運赫々、皇后の弟で、朝廷の重鎮となっている衛青以外に、ロクな男がいなかった。外見は美人の姉に似て、まあまあ男らしい風貌。辺境で鍛えた身体は、引き締まって逞しく、地位も名誉もある花の大将軍でしょ。「あたしんちの下男だったんだけど。」と思ったけど、他の男では見劣りがする・・てことで、結局ものすごく年下の衛青と再婚した。でも、いくら高貴なお姫様の御降嫁っていっても、衛青にとって、これは幸せな結婚だったんだろうか?
 ところで、まだ二夫にまみえず・・なんて儒教の教えは、そんなに流行していない漢代の前半は、まるでローマ貴族のように、男も女も、よく再婚、参婚したらしいよ。(F) 
 
『花の影』忠良と姉、如意と端午
 
 これは、1996年の香港映画(原題「風月」)に登場する2組の姉と弟。
 いつもの天神橋のビデオ屋でレスリー・チャンコン・リー主演というだけで、あらすじも何も見ずに借りてしまった1本。同じ日に「洞窟の女王」「マリーアントワネット」も借りて、これを先に見たんで、返却期限に間に合わせるために朝の5時起きして見る羽目になってしまった(しかし、なんちゅう組み合わせ! 節操がないなあ)。アタマがぼーっとしとる上に、1回見ただけでは理解しかねる内容(単に私の頭が悪いのかも・・)。と、さんざん言い訳して、本文だ。
 1910年ころ、主人公忠良は、子供の時に両親を亡くして、富豪の家に嫁いでいるの元に引き取られます。ここにはアヘン中毒の若旦那(姉の夫)と一人娘(如意)、彼女の遊び相手を務める遠縁の少年(端午)がいる。多分、忠良は、金はないが名家の生まれで、それゆえ姉はこの家に金で買われたのではないかしら? 忠良は毎夜、義兄と姉夫婦のアヘンの仕度をさせられる。そんなアヘンまみれの夫婦と妖しげな関係に追い詰められて、ついに屋敷を飛び出す。
 そして十数年後、上海でジゴロに堕ちてすさんだ生活をしている忠良(これがレスリーなのよ!)は、闇の組織の密命を帯びて再び富豪の屋敷に戻ってくる。しかし、今はアヘンで廃人になった義兄にかわって、美しく成長した如意が女当主。端午は養子として如意の弟にして後見人という立場になっているけど、相変わらず下僕同様の扱い。そして姉は変わらず忠良を惑わす・・・。
 レスリーのジゴロはともかく、コン・リーが富豪の娘で、大勢の召使に囲まれた屋敷から一歩も出たことのない世間ずれしていない娘という設定が似合わない。そして、アヘンに人生を狂わされ、人を愛することが出来なくなった男(レスリー)と、その男をひたすら愛する女(コン・リー)の物語かというと、これも「え?」てな感じよ。最後はお決まりの悲惨な結末になるんだけど、忠良は、彼にとってはアヘンのようなな姉との濃密な関係に耐え切れず逃げ出すんだから、姉役をこそコン・リーが演じるべきだ。その方がお嬢さん役よりも説得力があると思うけど。実年齢でいうと、コン・リーはレスリーより9歳年下なのよ。だから少々不自然かもしれんけど、レスリーは年齢不詳だし、コン・リーはフケてるから?この2人の妖しい姉弟ってのは見応えがあるような気がする。そして2人して破滅するのよ、う〜ん・・いいわあ。
 もう一組の姉弟、如意と端午の関係も微妙。義弟になったとはいえ、あいも変わらず下僕のように如意の世話をする端午。如意は、端午には忠良への満たされない思いをぶつけ、腹立ち紛れにぶったたくなどワガママ放題。耐え続ける端午。でも最終的には、勝ったのは誰だ? ってなことになる、おとなしげに振舞っている端午は可愛くないぞ。案外レスリーがこの役やってもハマるんじゃないかねえ。あ、但し、あのマコトちゃんみたいな髪型はやめてね。レスリーには似合わないから(H)。


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