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協力する姉弟。対決する姉弟。慕いあい、あるいは憎みあう・・血を分けた姉弟であるがゆえに展開する様々なドラマを集めてみました。
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天照と素戔嗚付月夜見
神話最古の姉弟。よく出来た姉と、やっかいものの弟。姉の治める高天原で、さんざん乱暴狼藉。迷惑かけまくり、とうとう姉の怒りを買い、追放される。難儀な弟ナンバーワンですが、まあ、自業自得かな。それに父親の鼻息で生まれてきた息子ですから、勢いだけみたいなとこもあるでしょ。
追放されてから出雲の国に行き、ここでも乱暴者の面目躍如。川原で出会った奇稲田姫に、いきなり「お前がほしい」。ほっといたら、その場に押し倒しそうな気配なので、驚いた姫の両親は「八岐大蛇(やまたのおろちと読むのは当然です)を退治したら、考えましょう」。是って、お断りだったんじゃないの? まさか本当に大蛇退治やるとは思わなかった?
気の毒な八岐大蛇は、毒入りの(毒入りだよ!)酒を飲まされ、ふらふらになっているところを、あっちゃこっちゃ、ぶった切って殺された。やれやれ。まあ、出雲のお姫様も、とんでもない婿もらったもんだ。
天照には、もう一人、双子の弟がいて、これが月夜見。彼は、クールで物静かな不老の美青年。やや、青白いけれど、はた迷惑ではない孤高の存在。だけど、実は姉と不仲で、お互いに顔をあわせたくないので、昼の女王と、夜の帝王(何かヘンだけど)として、住み分けをしているのだそうです・・って、ほんと?
卑弥呼と男弟
邪馬台国の女王は、トシくってるのにダンナがいないので、弟(男弟とのみ記載。名前はわからん)が代理で政治をしている・・と「三国志」に書いてある。それにしても、卑弥呼って、古い人よねえ。孔明さんと同じ世代なんだから・・。でも、私は最近、卑弥呼ネタには飽きてるの。歴史書も小説も、ただ女王ってことだけで騒いでるみたいだもの。
フィクションで、卑弥呼ものの最古の小説は大正13年の横光利一「日輪」ではないかと思うのですが、この物語では卑弥呼は、あまりの「美しさ」に男たちが勝手に争う。そのうち卑弥呼自身も、おのれの「色気」で、支配が出来るということに気づくというストーリーだよ。でも、こんな男経験の豊富なのが沖に召さなければ、やはり聖なる処女王としての卑弥呼は、人気があるんでしょうね。同じく中国史書に載っていても、「倭五王」では、小説もマンガも、映画にもなってないよ。5人のおっさんは、1人の女王にかなわないのねえ。
大江皇女と川島皇子
この2人は中大兄皇子、つまり天智帝の子供です。壬申の乱後の、天武朝で成人した姉弟は、姉は天武の後宮で、妃の一人として皇子を産み、弟は、皇親として、朝廷で政務にたずさわる。いわば、先朝の近江朝廷の皇族である姉弟は、勝利者天武の宮廷で、どのような立場であったのか? おまけに天武の死後は、異母姉にあたるこわ〜い持統のおばさんの天下であり、一つ間違えば大津皇子の悲劇が待っている。しかも姉は、男の子を2人も産んでいるので、持統おばさんのライバル。それに、おばさんに比べりゃ、まだ若くて美しい・・・でしょ、多分。そして、弟は、問題の「反逆者」大津の親友と言われていた・・・・。この難しい立場を、はたして2人はどうするのか。
なかなかドラマがありそうなんだけど、詳細はわからないのね。けれど、その後、この姉弟は、持統朝でも従来の立場は変わらないので、なんらかの、ヒトには言えない「苦労」をして乗り切ったものと思われます(どうも、大津をハメたのは、川島ではないか・・・なんて説もあるけど、これは、川島が策謀家だったのか、大津がぼーっとしとったのか・・・・・・もし、親友と呼ばれる人に裏切られるとしたら、その当人にも問題ありでしょ。大津って、他人の微妙な心理を理解しそうにもないからなあ・・・。あ、全国の万葉ファン、大津ファンは怒るかもね。しかし、「姉と弟」とくれば、絶対有名な「大伯皇女と大津皇子」をあえて無視して、同時代人のこの姉弟をもってきた私もヒネクレもの?)。
安寿と厨子王
御伽草子の悲劇の姉弟。弟を逃亡させるために自らを犠牲にするけなげな姉と、それに感謝しつつ、必死に生きる弟。
ドラマですねえ。感動ですねえ。姉たるもの、年長であるぶん、しっかりしなくちゃ。そして「私の分もしっかり生きておくれ」と祈りつつ、死んでゆくなんて、悲劇ですねえ・・・といった物語ですが、あまりに有名なゆえに詳しいことは省きますが、ようは、安寿は、年上の責任と、女であることの非力さを自覚しつつ、究極の選択をしたのが、これなんですね。その結果、弟は涙をこらえて逃亡に成功し、やがては力を得て「復讐」に戻ってくるわけですけど、年上の女の子としての「母代わり」と、男のために犠牲になる女の美化の典型なんですよ。
これが、姉が強くて「あんたしばらくがまんしとりや。絶対助けをつれて戻ってくるから、それまでうまいこと誤魔化すんやで」と、半ば弟を脅して脱走して、何らかの方法で(まあ、権力者に色仕掛けでか、まともな恋愛でか、力のある亭主をもって)力を得て、戻ってくる(多分、男なら入水自殺なんかしなくても、体力勝負で、したたかに生き延びることは出来るような気がする。厨子王も、色じかけをやってしまうかも?)なんて展開では、清らかな美少女の物語は成立しないんですもの。私自身はこんな話でもいいけど、これじゃあ、涙の名作にはならんもんなあ。
以上、てなところで日本の姉弟も大変ですねえ。(F)
番外・明子と飛雄馬
ご存知「巨人の星」の姉弟です。是については、今更という気もいたしますが、姉弟とくれば、はずすわけにはいかんのですよ。何が何でも巨人が一番! という妄想に凝り固まった父と弟。
ちゃぶ台蹴りの一徹おやじと、大リーグボール養成ギブス(ククク・・懐かしすぎて涙が出るわ。)をつけられ、野球漬けのスパルタ教育を強いられる弟飛雄馬。
この2人の間に立って、日々オロオロするだけで、何の役にも立たん明子さんこそ、いかにも日本的悲運の姉。そういう意味では、明子さんは、安寿の正統後継者と言えます。
貧乏所帯を切り盛りし、苦労するために生まれてきたような明子さんではありますが、最終的には玉の輿に乗ります。弟とライバルの両方から愛されるというマンガのような(マンガですけど)展開。
彼女はライバル花形さんを選ぶ。そりゃまあ、そうでしょうなあ。誰だってズングリムックリの伴自動車工業の倅より、容姿端麗、お金もある花形モータースの御曹司のほうがいい! 女は望まれて嫁になるのが一番だあ!・・というのを地で行ってます。
「続・巨人の星」では、和服姿も艶やかな奥様然としたお姿で登場あそばしたんで、ビックリしたんだけど、この「続・・」の花形さんについては・・・・何も言いたくない!
しかし、今となって思えば、「巨人の星」は疑問の多いマンガだった。最も?なのは、花形さんと星君の年齢差。これは明子さんにも関連することなんだけど・・・。昔から、星家の家事一切は明子さんがやってて、貧乏所帯のやり繰りで苦労してるから、フケ顔だとしても、飛雄馬君よりは5歳以上は年上のように見える。
花形さんだって、飛雄馬君よりずいぶん上のように見えるけど、2人は一緒に甲子園に出て、そのまま卒業後、プロ野球の世界で競うから、いくらイギリス留学していたとしても、甲子園に出るには年齢制限があるだろうから、せいぜい同年齢か1つ違いでしょ。となると、花形さんと明子さんって、4つ違いなの? 野球選手は年上妻が多いからそれはそれでいいんだろうけど、なんか、明子さんって、若さがないのよね。
その他にも9人乗りのスポーツカーとか、謎は色々あるけど、このへんの疑問については「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ、逆だ」(堀井憲一郎 講談社文庫)という長いタイトルの文庫本に詳しく出ていますので、そちらをご参照下さい。わはははは・・・(H)
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