尖閣「対話努力を」 沖大で講座

2013年1月13日 09時46分
(30時間20分前に更新)

 沖縄大学地域研究所は12日、土曜教養講座「尖閣諸島の自然と歴史」を那覇市国場の同大で開いた。同諸島に詳しい各分野の研究者ら3人が発表し「日中はこれ以上対立を深め合わないで」と呼び掛けた。学生や市民ら約90人が受講した。

 上里賢一琉大名誉教授は尖閣諸島の領有権をめぐる日中台の主張を紹介。「『固有の領土』という言葉に固執せず、対話する努力を」と訴えた。また「同諸島の問題は沖縄の問題でもあるので、県民は積極的に関わるべきだ」とした。

 尖閣諸島周辺の漁業の歴史を解説した同諸島文献資料編纂(へんさん)会の國吉まこも研究員は「現在、日中台の対立で漁ができず、漁師の生活はかつてないほど深刻だ」と指摘した。

 同諸島で繁殖するアホウドリの生態について発表した沖縄エコツーリズム推進協議会の花井正光会長は「乱獲により絶滅が心配されていたが、今は上陸の機会がなくなったので個体数は回復傾向にあるようだ。領土問題とは離れて生態の調査が必要だ」と訴えた。

 講座の後半では、発表者に新崎盛暉沖大名誉教授と岩下明裕北海道大学スラブ研究センター教授が加わり、議論した。新崎名誉教授は「現場で生活している人に焦点を当てた『生活圏』という視点で領土問題をとらえ直すべきだ」と提案。岩下教授は「考えには賛同するが少し抽象的な感じがする」と応じた。

 会場からは「これまで対話で領土問題を解決した国はあるのか」などの質問が出た。

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