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教育レポート/edurepo このページをアンテナに追加

2013-01-07

大阪市の公募校長になりました


 唐突になんの報告だ、と放置プレイ真っ最中のブログながら、驚かせてすみません。

 前の記事を書いたのが昨年の4/14、第二子出産が5/17、それから紆余曲折あって今年の4月から大阪市で小学校の公募校長になります。

 過去記事の多くを吹っ飛ばしたので機会があれば再掲したいのですが、私の教育におけるテーマは「経済格差を教育格差にしない」ことです。

 そのために重要な役割を果たすのが小中学校での教育、中でも家庭学習や自ら調べ、考える習慣をつける「自立学習」の指導が大事だと考えてきました。


 日本の公教育の優秀な面を引き継ぎつつ、現場で無理が生じている部分を解消できないだろうか。

 いつかは教える現場に戻りたいと、教育ボランティアなどを続けていたこともあり、公募の情報を見て応募し、合格しました。今日から研修が始まりました。教育の現場に戻れる喜びと、現場の拒否反応への不安を抱きながら、真剣に臨みます。


 さて、それはともかく。


 今日痛感したのは「メディアって怖い」と、いう話です。


 本日、研修に入るための発令式がありメディアの取材を受けました。
 前のエントリーでも書きましたが、メディアの編集能力ってのは本当に恐ろしい。


 発令式のあと、ぶら下がり取材がありました。カメラに囲まれて、瞬時に誤解の無いコメントを出すのは至難の業です。


 インタビューを受けていて、マスコミが欲しいのは「橋下市長の手下としての素人民間校長っぽいコメント」なんだろうなと、感じました。

 
 しかし、私は頭の中で「現場の先生と保護者に不安を与えたくない」と考えていました。すると、つい長めのコメントになってしまいます。


 記者に「橋下市長の教育改革を進めるという形で取り組むと考えてよろしいでしょうか?」と質問され、私は


「大阪市の教育振興計画を進めることに異論は無いけれども、その量とスピードに現場がついていけない可能性はあるので、その仲介役になるのが自分の仕事ではないかと思っています」

 と答えました。




 「全国学力テストの成績公開については、校長に決定権がありますがどうされますか?」と聴かれ、

 「自分が親なら知りたいと思いますが、保護者からアンケートを採って公開を決めた学校もありますし、現場の先生達と考えます」

 と答えました。


 それが記者の手にかかると、こうなっている↓
 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130107-OYT8T00751.htm

 「子どもを安心して通わせることができる学校運営を目指す。塾での経験をいかして、橋下改革をスピード感を持って進めたい」

 特に「橋下改革をスピード感を持って進めたい」の辺りに、メディアのいやらしい意図を感じます。


 「橋下の手下である素人校長VS現場の教師」


 この図式がメディア受けするのは、私も広報を仕事にしていたのでイヤというほどわかります。

 それにしても、塾の仕事の話とそのコメントをつなげて話していないし、「大阪市の教育振興計画を進める=橋下改革を進める」という言葉のすり替えに、ムダに現場での敵を増やしてくれてありがとう、という気分です。


 その辺、自分で事前に文章を書いておきました。

 「大阪市立小学校で民間校長になります〜バッシング想定問答集」
 http://mamapicks.jp/archives/52097445.html


 これにさえ「自己陶酔」と辛辣なコメントがついているので、ここから先は何をしても叩かれるんだな、と覚悟はしています。


 
 小学校は地域性が強いので、とにかく現場に行かないとわからない。


 「民間校長としてのあなたの売りはなんですか?」という質問もありましたが、「IT」とか「グローバル人材の育成」とか、そんなわかりやすい答えを求められるのがわかっているだけに、言葉が出てこなかった。


 別に「民間出身だからこうせねば」とは思ってないんです。
 私がならなければ、誰かがなるだけのこと。


 今回は、教頭からの公募もして、残りの39名、大多数が教頭から選ばれています。そこに横並びにして「任せてみよう」と思う何かがあったから、呼ばれたのだと思っています。

 生徒と親のいる現場の泥臭さは、塾という現場でありましたが小4〜中3の6学年を一緒にした校舎を運営していて、経験があります。理想論を語っていても、仕方ない。まずは子どもの安全、そしてそれぞれの現場の課題解決、次にようやく新しい教育施策に取り組むという形になるはずです。


 それから「母親で校長」という面だけを取り上げて、型にはまった取り上げられ方になるのも閉口です。この見出しにはクラクラ来ました。


 大阪市の公募校長 元新聞記者や子育てママに辞令(毎日放送)
 http://www.mbs.jp/news/kansaiflash_GE130107170200645876.shtml
  

 「5歳の長女と7ヶ月の長男の子育てをしながら、仕事と育児の両立をめざします」

 いやいやいや、その場で「ウチは夫が家事育児をメインでやっています」って言ったやん?共働きで家事育児の比重が夫寄り、と説明しても、メディアはわかりやすい部分を取り上げたがる。


 「子育てママに辞令」って、私が情報の受け手になっても「素人校長、大丈夫なん?」と思わせる力があるコピーです。「母親視点を活かした学校作りを」と入れてくれるならまだマシですが、この素人感ただよわせる言葉選びの絶妙さ、「橋下市長が雑に選んだ民間校長、素人がいっぱい来ましたよ、ヤバイですね〜」と不安に陥れたい意図を感じます。
 

 ただ、ここには自分でも答え方に失敗したなと反省する部分がありました。

 「どんな地域の小学校に配属されたいですか」と聴かれて、「本音は子どものこともあるので近いところですが(笑)、任された場所ならどこでも行きます」と答えたので、「育児の片手間かよ」「真剣味が無い」と批判されるネタを与えたことになります。また同じような機会があれば、心して臨まねばと思いました。


 教育困難校にできれば行きたい、でもそれが甘い考えでかえって迷惑をかけるなら、教育委員会の判断に従う、という気持ちでいます。


 
 とりあえず、一日でどっと疲れました。

 
 そもそも、「大阪の教育がヤバイ」とバッシングしている人のどれだけが大阪市の教育振興計画に目を通し、批判すべき点を取り上げ、検証した上で批判しているんでしょう。

※ここにあるので、興味があればご一読を↓
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000112488.html

 親の視点で見ると、具体的で意義ある施策が詰まっています。

 ただ私は「これを全部、まともなレベルで実現する余裕が現場にあるのか?」という疑問は抱いています。先生達は、あまりにも忙しすぎる。


 最適解を見つけるには、現場に行くしかありません。


 橋下市長の方針にすべて賛成でもすべて反対でもなく、もうここまで決まっているなら失敗してほしくない、そのために自分の能力を使わせてもらいたい、と考えています。


 私が「経済格差を教育格差にしない」というテーマを選び、その実現に小学校教育を選んだ理由については、また改めて書くつもりです。


 今日一日の反響で、何を書いても何を話しても叩かれるのだと痛感しました。
 
 ただその中には、耳を傾けるべき意見や新しい視点が含まれている場合もあります。批判も受け止めながら、かつ心折れることなく、取り組むつもりです。


 教育に関する情報発信や議論は、Twitterでも行っています。
 https://twitter.com/Yama_Terumi


 今日の研修で、教育センターの所長さんにいい言葉を教えてもらいました。

 「あ・た・ま」が教育現場には大事なんだよ、と。

 「あ:明るく/た:楽しく/ま:前向きに」


 先生達は、「明るく・楽しく・前向きに」仕事できているだろうか?
 子ども達は「明るく・楽しく・前向きに」学校生活を送っているだろうか?
 校長は「明るく・楽しく・前向きに」校運営に取り組めているだろうか?

 
 バッシングを後ろ向きにとらえず、楽しんでやろうと思ってこの記事を書きました。メディアの編集による恣意的な報道について、リアルに学べて楽しかったです。

 
 研修がんばります!


 

公立高校公立高校 2013/01/14 13:58 大阪府下で、類と馬がトップ高独占してるんですけど同業者として思うところあります?

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