うちは兄弟揃ってエンジニアです。兄はトヨタ某で働いています。そのことを忘れて今日のような祝日に連絡を取りますと「今日は会社だよー」と言われてしまいます。

これは別に休日返上で働いているのではありません。兄はトヨタカレンダーという仕組みに沿って働いているからです。トヨタカレンダーはカレンダー上の祝日や祭日を休みにせず、「週5日勤務+休みを2日」の基本を崩さないで働くスタイルです。ですので秋分の日や体育の日などは休みではありません。しかしその代わりに年末年始やゴールデンウィークはたっぷりと休みを取る事ができます。会社指定の休業日は通算すると普通の会社とほとんど変わらないようです。

地元愛知県では有名な「トヨタカレンダー」なのですが、東京で周りの人に聞いてみるとあまり知られていないようでしたのでブログのネタにしてみました。(しかしwikipediaには載っていました。)私の実家は豊田市の近くなのですが、豊田市、刈谷市、大府市あたりのトヨタ集積地帯では、トヨタ本体だけでなく、トヨタに部品を納入している下請企業もトヨタカレンダーで働きます。また、工場勤務の人だけでなく、事務職の人も合わせてトヨタカレンダーで働きます。そうすると、近所のコンビニや飲食店などもトヨタカレンダーに合わせて働きます。トヨタカレンダーを知らない人がトヨタ系列の工場が多い地域に引っ越してくると、祝日の朝に通勤ラッシュが発生するのを見て「えっ。今日は休みじゃなかったっけ?」と驚く事もあります。なお、道路の信号には休日モードと平日モードがありますが、トヨタの工場が多い豊田市ではトヨタカレンダーに沿って自動車の信号が運用されているという噂を聞きます。一方、バスと鉄道はカレンダー通りだったはずです。

トヨタカレンダーには優れている点がいくつもあります。

  • 工場の機械を止めたり動かしたりすることが非効率である。(機械の停止処理と稼働処理には思ったよりも時間がかかる)
  • 納入する部品は、すべて5日分を1ロットとして考えるだけで済む。今週は4日しかないから普段の80%の製造量にしなくては、などと例外に対応する必要がない。
  • 働く側も5日働くことが体に染み付いてやりやすい。

こうしてみんなで一丸となって行動する体制が整っているからこそ、様々な無駄を無くす取り組みが有効に機能するのでしょう。

トヨタカレンダーに関連して、トヨタに対して皆さんが抱いているイメージが垣間見える冗談があります。

「豊田市では小中学校もトヨタカレンダーに従う」

単なる冗談なのですが、真顔で言うと信じてもらえる事があります。そんなことまでやりかねないと思われるほどトヨタ=合理主義というイメージが定着しているのかもしれません。

yohei

Special

- PR -
コメント
mohno 2007/09/24 23:09

大学にリクルートにきていた先輩が「ウチは完全週休2日だから」というときに、「完全に」「週休2日」というのを強調していました。くしくもバブル最盛期の売り手市場で、そんな“お固い”トヨタを選んだ同期がひとりもいないという事態に:-)
きっと誰かは後悔しているに違いない^_^;

yohei 2007/09/24 23:24

mohnoさん、コメントありがとうございます。
トヨタカレンダーのような考え方は大きく好みがわかれるところなのかもしれません。mohnoさんの同期の方々のような拒絶派もいれば、コアタイム無しの完全フレックスタイムの会社に入っても9:00出勤を厳守するという方もおられると聞きます。出退勤時刻がある自分からすれば何ともったいない事を!という思いです。
うちの兄は5日をワンセットにするということが体に染み付いてからはトヨタカレンダーのほうが働きやすいと言っていますので、フレックスを無視して定時出退勤するという人もリズムを重視しておられるのかもしれません。リズムが狂うといえば祝日の翌日は出勤がつらいですもんね。
# 明日がまさしく祝日の翌日……

一社員 2007/09/24 23:47

基本的に自動車業界は祝日稼働です。(日本自動車工業会?推奨)
トヨタは通常、祝日は通常出勤ですが、7月の第三月曜(海の日)と10月の第二月曜(体育の日)だけは休みとなります。

慣れればリズムが掴みやすいのでいいですが、連休が長いというのには罠があります。他大手メーカーなどは連休期間中に数日以上連休を取ることが推奨されているので、連休の長さはほとんど同じですから。年休は普通のなんでもない日に取ることになります。

yohei 2007/09/25 00:06

一社員さん、コメントありがとうございます。
自動車業界は全体でそういう習慣なんですね。知りませんでした。海の日と体育の日だけ休みというのも、そう言われればそうだったような気がします。今度その理由を兄に聞いてみたいです。
年休は5日ワンセット勤務が習慣になっていると取りにくいという人がいるかもしれないですね。SEはお盆やお正月に機械を完全に止めて、停止時でないとできないような作業などをすることがあります。その振り替えとして、なんでもない時期に5連休を取る事には抵抗がないですね。ピークをはずすと帰省も旅行も空いていて快適ですよ。

Emie Kayama 2007/09/25 00:43

自動車業界や工場を抱えるメーカーだとそういうことが多いらしいですよ。
私の身近にも似たカレンダーで働く人がいますが(苦笑)、例外として鈴鹿8耐の前の金曜日が休みだそうで・・・初めて聞いた時は驚きました。

aqua 2007/09/25 01:22

こんにちは。
某メーカーで電気製品の設計をしている友人は、「週勤5日」というふうに言っていました。
先週や今週のように、月曜日の祝日に休む場合は土曜日に出勤だそうです。
「大変だね」と、心の中で言っておきました。

ひとぴん 2007/09/25 09:33

>豊田市では小中学校もトヨタカレンダーに従う

これは、豊田市に限らず系列企業の散在する三河全域や遠州西部で、冗談抜きにそういう傾向があるように感じます。ま、先生方の事情もおありなんでしょうけど、行事の日程を見てるとそうとしか思えないときもある(^^;。

調べてはないですけど、地域のお祭り日程にも影響を与えているかも知れませんね。

M. HAYASHI 2007/09/26 00:08

yoheiさん
>私の実家は豊田市の近くなのですが
実は私も実家は豊田市で本社から歩いて10分ちょっとのところです。父親もトヨタ自動車でした。(もう退職しました)
今度トヨタネタで盛り上がりましょう。

nameless 2007/09/26 00:27

TMCの中にいると、これが普通です。

yohei 2007/09/26 00:41

どうやらトヨタでも海の日と体育の日はお休みなんだそうです。海の日は工場周りの人だけお休みで、その他は出勤みたいです。その代わりに工場周りの人たちは2月3月などの忙しい時期になると週6勤になることもあるとか。

Emieさん、コメントありがとうございます。
やはり工場関係ではそういった働き方が多いんですね。鈴鹿8耐の前の金曜日がお休みになるというのはおもしろい会社さんですね。初めて聞きました。大学のときは、大学対抗戦で勝った翌日は1時間目が休講になったことがありました。(先生が飲みすぎ)
|
aquaさん、コメントありがとうございます。
月曜の休みをしっかりとって土曜日まで働くというスタイルもあるんですね。知りませんでした。SEの視点からすると、そういった変則業務のお客様に運用サービスを提供する時には自分が所属する会社の休日とズレが生じることがあり、週40時間勤務の壁など考慮すると色々と大変な点もあります。
|
ひとぴんさん、コメントありがとうございます。
週5勤システムは色々なメーカーで採用されているみたいなのですが、トヨタカレンダーは地域まで巻き込んで大規模に行われている代表的な例ですね。授業日がトヨタカレンダー化することは難しいかもしれませんが、授業参観や運動会などはトヨタカレンダー化しやすいかもしれませんね。お祭り(お○でんですか?)については、トヨタ系の企業からも寄進が集まっているでしょうから影響を受けざるを得ないかもしれません。
|
林さん、コメントありがとうございます。
私は旧・愛知郡の出身です。兄を見ていると、日常生活でもカイゼン的思想を好むところがあるなー、と感じます。今度会いましたらお父様のおもしろい話など色々とお聞かせ下さい。
|
namelessさん、コメントありがとうございます。
私には何の意味がわからないマークを置いておきますね。以前、実家に落ちていたブルゾンについていました。
■ ●
 ■
なおうちの兄はお嫁さんから結婚する寸前までお皿やお茶碗を作る仕事をしていると思われていました(笑)


コメントを投稿する
メールアドレス(必須):
URL:
コメント:
トラックバック

http://app.blogs.itmedia.co.jp/t/trackback/77444/10378301

トラックバック・ポリシー


» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2012年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ