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【コラム 撃戦記】

3度目挑戦で世界王者奪取 死ぬ気で戦った河野に学ぶ

2013年1月14日

 「奇跡です。ほとんどの人が負けると思っていたでしょう」

 昨年大みそかのWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ。王者テーパリット・ゴーキャットジム(タイ)に4回、3度のダウンを奪ってKO勝ちし、3度目の世界挑戦で夢をかなえた河野公平(31)=ワタナベ=が高笑いした。

 実は私もそう思っていたひとりだ。序盤から前に出るテーパリットのプレッシャーにひるむことなく応戦。一気に攻め切ったKOは圧巻だった。河野は「高橋知明トレーナーと打ち返すスパーを徹底してやった」と、マンツーマン特訓の成果を勝因に挙げた。確かに、これまでの河野には見られなかった内容だった。

 過去2度の世界王座決定戦に失敗。再起戦も2連敗。普通なら現役に見切りをつけてもおかしくない。渡辺会長は3度目の機会に「何も言わなかったのではない。高橋と河野には『こういうチャンスをつくってやったんだからな』と言っておきました」と笑った。

 「人間死ぬ気になれば何でもできる」も今は古い格言。学校はいじめと自殺の関連が社会問題化。納得できる解決策が見いだせないでいる。ボクシングで国民的英雄になった内藤大助は3度目、日本人初の名誉王者になった西岡利晃は5度目の世界挑戦で夢を実現した。そこに“格闘スポーツの力”がある。追い詰められた若者たちに、死ぬ気で立ち向かった河野の捨て身を感じてほしいと思った。 (格闘技評論家)

 

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