大飯原発を再稼働させ、消費増税を衆院で通過させた野田首相がますます増長してきた。オスプレイ配備、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加、集団的自衛権の容認−−どれも国民的議論を経ずに突き進む暴走だ。「歴史に名を残す」という妄執に取り憑かれたとしか思えない野田首相の“対米盲従”が止まらない。
野田首相はまさに保身のために米国に魂を売り、首相官邸はいまや「ホワイトハウス・日本支部」と化しているというのだ。
そんな中で不穏な情報が政府関係者の間で飛び交っている。「官邸に外国人の女性スタッフが座っている。米オバマ政権の代理人ではないか」「彼女が何者なのかを情報当局の関係者が関心を持っていた」−−というものだ。
ある官邸スタッフがいう。
「彼女はHという名前で、容姿は日本人だが、姓は明らかに外国人。どこの国籍かは知らないが、官邸5階に出入りしており、岡田(克也)副総理や仙谷さん(由人・政調会長代行)と親しい」
首相官邸5階は、日本の最高中枢である。野田首相の執務室のほか、副総理執務室や官房長官室が並び、国家の機密情報はここに集まる。官邸にたむろするクラブ記者もこのフロアへの立ち入りは禁じられている。そこに「外国人」がフリーパスで出入りしているとは、俄には信じがたい。
別の官邸スタッフからさらに詳しい情報を得た。
「年齢は40代後半で、もともとは民主党事務局の政調スタッフ。政権交代後に官邸に出入りするようになった。彼女自身は日本生まれだが、外国人男性と結婚して現在の姓になったらしい。労働政策や社会保障が専門の才媛で、かつては長妻昭・元厚労相、現在は税と社会保障の一体改革を担当する岡田副総理のブレーンとなっている」
野田政権が邁進する増税政策の“手足”として働いているのは間違いないが、外交や安保の専門家というわけではないという。
2010年5月の政府国会答弁にH女史の名前があった。民主党政権が官邸スタッフとして採用した参与や専門調査員リストの公開要求に対する答弁で、それによると肩書きは非常勤国家公務員である「内閣官房専門調査員」。任命は2009年10月19日となっているので、3年前の政権交代と同時に官邸入りしていたことになる。
内閣法制局の見解では外国籍を有する者を国家公務員に任用できないとされている。この点について民主党はこう説明した。
「外国籍の男性と結婚していますが、彼女自身は日本国籍です。配偶者の国籍については、プライバシーの観点からお答えできない」(総務委員会)
だとすれば、なぜH女史の「素性」が今頃になって取り沙汰されたのか。H女史を知る民主党の古参職員はこう分析してみせた。
「Hさんは今回の一体改革で官邸の政策担当者として党内説明に走り回っていた。外国人の姓を名乗っているので、役人には必要以上に目立ってしまったのだろう。
また、彼女は民主党職員になる前は社会党の職員で社会主義協会右派に近い親米派と見られていた。そうした情報が錯綜する中で、“米国の息がかかっているのではないか”と思われてしまったのかもしれない。有能な政策スタッフだけに彼女にとっては心外な話だろうが……」
※週刊ポスト2012年8月3日号