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景気回復を妨げない国際的な銀行規制に

2013/1/14付
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 金融危機の再発を防ぐためにつくられた国際的な銀行規制、バーゼル3の一部が緩和されることになった。主要国の金融監督当局が、厳しすぎる規制は世界の景気に悪影響を与えるとの判断で一致したためだ。

 リーマン・ショックから5年目に入っても、世界の金融システムは弱々しい。銀行の健全性を高める規制は重要だが、それが信用収縮を招くようなことがあってはならない。景気に配慮した規制の見直しは現実的な判断だ。

 緩和されるのはバーゼル3の「資金繰り規制」と呼ばれる部分だ。危機の際に予想される銀行からの資金流出量に対して、国債など流動性の高い資産を100%以上持つよう銀行に義務づける。

 監督当局の合意により、資金繰り規制を完全実施する時期が2015年から19年に延期された。さらに国債だけでなく株式なども一定の範囲で、新たに流動資産として認められた。

 欧州には流出予想額に対して流動資産が50~80%しかない銀行も多いという。こうした銀行は規制への対応として国債などの保有を増やすため、融資や保有株式を圧縮せざるをえない状況だった。

 国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しによれば、今年のユーロ圏の成長率は0.2%にとどまり、米国の2.1%や日本の1.2%を大きく下回る。欧州危機の痛手を受けた銀行が成長分野にお金を回せないためだ。

 ユーロ圏の景気が下振れするようなことになれば、貿易を通じて密接につながる中国に悪影響が及び、日本の景気回復に水をさす可能性もある。こう考えると、主に欧州に配慮したとみられる規制の緩和もやむを得ない。

 金融危機の後には様々な銀行規制がつくられた。いざ実施となれば、実情に即したものかどうかを再点検する作業が要る。資金繰り規制の緩和は良い例だ。米国は銀行に高い自己資本比率を義務づける規制も、国内の準備不足を理由に延期を表明した。

 日本の大手銀行は資本を増強するとともに国債の保有を増やすことで、流動性や自己資本の国際的な基準を達成するメドが現時点でついているもようだ。

 規制に実体経済の視点をとり入れる流れが見え始めた今、日本の大手銀には規制への対応と並んで、リスクをとり成長分野にお金を回す役割も一段と求められる。

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銀行、資金繰り規制、IMF、規制

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