シフゾウ:角ポロリ 年末年始“恒例” 今年は2、3日−−熊本市動植物園 /熊本
毎日新聞 2013年01月08日 地方版
毎年、年末年始に抜け落ちる熊本市動植物園の珍獣、シフゾウの「ジロー」(雄、13歳)の角が今年は2、3日に相次いでとれた。09年まで5年連続で大みそかに落ちて話題となって以来、職員はこの時期になると「いつになるのか」とやきもきしているという。
漢字で「四不像(しふぞう)」と書き中国原産のシカの仲間。頭はウマ、体はロバ、角はシカ、ひづめはウシに似ているが、そのどれでもないことからその名前が付いた。野生では絶滅しており、国内では同園と多摩動物公園(東京都日野市)にしかいないという。
05年からは年越し行事のように大みそかに角が落ちていたが、ここ数年はクリスマスイブや年明け。今年は元日が過ぎ、そろそろかと注目される中、2日夕に「その時」が来た。首を左側に不自然に傾け、固まっているジローに気付いた飼育員が、右の角が落ちているのを発見した。角は2〜3キロあるといい「急に片方だけ軽くなってバランスを保てなくなったのかも」と飼育第1係長の瀧本勉さん。
左の角は3日朝、木に首をこすりつけた時にポロッと落ちた。担当でも落ちる瞬間はなかなか見られないといい、目撃した飼育員は「落ちたー!」と、声を上げずにはいられなかったという。
普段からおとなしい性格で雌へのアピールポイントを失い、さらにショボンとしたようにも見える。しかし、「5月ごろには皮膚に覆われた角が出て、立派に成長する」(瀧本さん)といい、ジローにとっては新たな一年の始まりだ。【澤本麻里子】