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  わたしのHello, Again. 作者:Lyijykyyneleet
この物語は、コワレミクPさんが2012年3月にニコニコ動画において発表されましたMMD-PV作品「わたしのGood Bye」を元にした物語です。
小説をお読みになる前に、こちらの作品をご視聴ください(※なお、コワレミクPさんより、掲載の許可を頂けましたので、併せてここに記載いたします。コワレミクPさん、ありがとうございます)。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm17151185
序文─ある地方の、ある紋章についてのお話─
今から遠い昔のこと、この大陸にあったある小さな公国が、戦火に呑まれ滅亡したことがある。
戦争の原因はよく分かっていない点が多いが、この公国が属していた帝国の後継者争いに端を発する戦争だったのだそうだ。
古い記録によれば、その戦争によって、その公国は他国に攻撃・占領され、その国の首都も大きな被害を受けたという。国民は難民となって他国に逃れ、国は滅び、その後その国の首都は放棄されたも同然の有様であったらしい。
ところが、不思議なことに、完全に放棄されていたはずのその街に、数年後突然国民が戻り始め、街を再建したのだという。その理由はよく分かっていない。いずれにしてもはっきりしているのは、その国の首都があった場所には、現在も街があり、人々が平和に暮らしているということだ。

その新しい街の中心には、規模は大きくないものの、立派な古城が建っている。
これはその公国があった時代からのもので、幾つかの史料によれば、この城がまだまだ新しかった頃、ここに公とその一族が暮らしていたという。公は民をよく按じる賢君だったので、市井からも慕われていたと記録に残されている。
そしてこの公には、一人の娘がいた。その美しさは大陸に名を馳せたというから、相当な美貌の持ち主であったろうと容易に想像できよう。この娘は、公国が戦火に呑まれた時、亡き父と母に代わって公国を率いた、と伝えられている。

現在のその街の紋章には、二人の少女の横顔の輪郭が描かれている。
一人の横顔は流れるようなロングヘアを湛え、もう一人の横顔は兎族の亜人特有の長い耳を有している。
これらは、街の古くからの豪商の一家に伝わるシンボルを、そのまま採用したものらしい。だが不思議な事に、そのシンボルが誰の横顔を描いたものなのかは、その豪商の一族の誰も知らないのだという。しかも、兎族の亜人が街に何か特別な功績を残したという逸話もこれといって伝わっていないのだそうだ。どうしてそんな横顔が描かれたものか、先ほど述べたこの街の死と突然の復活も含めて、これはまさしく歴史のミステリーといえるだろう。

ところが最近になって、この国のある地方の剣術家の一族の開祖とされる人物の手記が、古い蔵から発見された。
私はちょっとした地方史の研究をしていて、その参考にするために古文書を集めていただけであり、それを手に入れたのもたまたまに過ぎなかった。ところが、ざっと読んでみたところ、この手記が、どうやらあの不思議な横顔のシンボルの秘密と、国民が街に戻ったその理由に関わっているようだと気づくに至ったのである。
非常な達筆で書かれたこの手記は、その開祖という人物が若いころ、諸国を仲間と共に旅していたころに付けていたものらしい。この中に、一人の兎族の亜人の少女と、その少女に関わる一人の女性の出来事が綴られているのだ。
無論、これが件のシンボルの二人であると性急に結論付けることはできない。より詳細に、他の史料をも照らし合わせて、研究する必要があるからだ。そこでまず、私はもう一度この手記を読み直し、それから改めて様々な史料を紐解いてみようと考えている。

もし、あなたに時間と興味があるのならば、私ともう一度この手記を読み直して頂けないだろうか。もしかしたら─あの二人の少女の横顔に纏わる物語の秘密が、見い出せるのではないかと、私はそう思っている。


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