遂にゲーム予選【ANOTHE GAME TOURNAMENT】が開始する!!
だが開始早々、解賭は【ある事】に気付き――――!!?
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それでは第1章の始まりです。ごゆっくり御楽しみ下さい。
午後9時35分。【ANOTHE GAME TOURNAMENT】開始から約5分経過。
解賭は、自分の前にサイコロを振った1番目の男、斉藤和義の駒を、じっと見詰めていた。解賭の額には汗が滲んでいる。
何と斉藤は、1回目で【6】を出したのだ。
解賭もこれには驚きを隠せなかった。こんな幸運、滅多に在る物ではないのだ。斉藤には、強運が付いているのだろうか。
いや、それは無い。
解賭は一度でも運のせいだと信じた事を、心から後悔した。ギャンブルの世界では、運のせいだと思い込む事は、最大の重大ミス。もしかすると、イカサマを仕掛けただけかも知れないのだ。
いや……待てよ。
例えイカサマを用意していたとしても、それを1回目から堂々と出すだろうか?
もし、自分と同じ様な不正を行なっている者……いや、自分をも上回るイカサマを仕掛けた者が居た場合、自分は予選で敗退するかも知れないのだ。
このゲーム予選では1チーム中3人が勝ち抜け出来る。それはつまり、当然の事だが、幾ら僅差で敗北したとしても、自分は4位。1回戦には行けない。当然、慎重にイカサマを出すに決まっている。1回目はサイコロを運に任せ、人間観察。それでイカサマを見抜く~と言う作戦なのではないだろうか。
だがその裏をかいて、1回目からイカサマをして来る可能性も在る。先程記述した様に、周りの人間は、1回目からイカサマは出さないだろうと安心し切っている。その心理的盲点を突いて……。
解らなく為って来たので、解賭は頭を抱えた。その弾みで、サイコロが解賭の掌からポロリと転げ落ちた。
「あっ」と声を上げた時にはもう遅かった。サイコロは転がって、【3】の目で止まった。
こうして、解賭の1回目は虚しく【3】に終わったのだった。
午後9時45分。【ANOTHE GAME TOURNAMENT】開始から約15分経過。
サイコロは5人の人物の手を廻り、また斉藤の手に戻って来た。斉藤はサイコロを振った。
何と、【6】が出た。
……何……だと。
解賭の表情は、凍り付いた。まるで絵に描いた様な顔面蒼白状態である。
何故だ……? 何故奴がサイコロを握ると必ず【6】が出るんだ――――?
解賭は周りを見渡した。全員が斉藤に目を向けているが、その目は真ん丸で、今にも飛び出しそうだった。その中で青筋を立てていた1人の男が叫んだ。
「おい!! ふざけんじゃねえぞ!!! こんなの絶対イカサマだろうがよ!!! さっさと白状しろよこの詐欺師が!!!」
斉藤は知らん顔をし、男に向いて言った。
「何だと? 俺はイカサマなんかしてない。振ったら偶然、2連続で【6】が出ただけだ。何か文句在んのかよ」
「んだとこの如何様阿保馬鹿雑魚野郎!!!!!!」
男が、斉藤に飛び掛かった。男は斉藤に覆い被さり、斉藤の頬にストレートを喰らわした。今にもまた殴りそうだが、斉藤は微動だにしない。暴力はこのゲームでは認められていないのだろう、仮面男のディーラー達が男を止めに掛かった。男は抵抗したが、直ぐに捕まってしまった。ディーラー達は不気味な仮面から、冷酷な口調で言った。
「暴力はこのゲームでは最大のファウル。貴方は退場です」
男はディーラー達に連れて行かれた。暫くして、悲鳴が微かに聞こえた。
だが、解賭は確信したのだった。
斉藤は、イカサマを行なっている……。
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