【コラム】韓国国会議員の情けない外遊記

 韓国の国会議員は東京を訪れると大抵は帝国ホテルに泊まる。国会議員なのだから日本で最高の伝統と権威を誇るホテルに泊まらなければ釣り合わないとの理由からだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時にこんな話が広がった。出張地の宿泊スケジュールに「帝国」と書かれたのを見た若手議員が「日本帝国主義のホテルだ」と言って腹を立てたのだという。東京の韓国大使館は頭を痛めた。格下のホテルを紹介すれば、今度は「見下された」と言われかねないからだ。結局はひねり出した妙案が通じたという。「帝国」を「インペリアル」と書き換えたところ、文句は出なかったというのだ。「インペリアル・ホテル」は帝国ホテルの英文表記だ。

 朝三暮四の故事に出てくるサルでもあるまいし、若手議員が二つのホテル表記が同じホテルを指すことを知らなかったはずはない。彼らは記録に「帝国」という文字が残ることを嫌がっただけだ。当時の若手政治家の欺瞞(ぎまん)意識を皮肉ったエピソードだ。社会運動出身者だどうだと言ってみたところで、国会議員になれば皆同じということだ。

 日本で韓国企業の駐在員とハイキングに行く機会があった。金曜日の夜、約束の場所に相手は日焼けした顔で1時間遅れで現れた。勤務時間内に韓国の国会議員3人とゴルフをしていたという。「知り合いの議員か」と尋ねると「大使館から突然割り当てられた」と答えた。酒席での接待は他の企業の役割だった。国会議員の外遊シーズンには週に4日もゴルフに出掛けた駐在員の話を聞いたことがある。

 以前ドイツのフランクフルトに出張に行った際に会った駐在員は、韓国の国会議員が訪欧時にフランクフルトに立ち寄る隠れた理由を聞かせてくれた。名目は「先進経済の視察」だが、実際はウィスバーデンの男女混浴風呂に行くのが目的だという。駐在員は「議員を案内するため、週に3回も混浴風呂に行ったことがある」と話した。この議員たちの醜態は「18禁」の内容なので、紙面には書けなかった。

 遠方の駐在員の中には国会議員を心待ちにしている人もいた。国会議員を案内するということは、会社の許可を得て、会社のカネで最高級の遊びができることだからだ。ポルトガルのリスボンで会った駐在員は「ここには面白いものがないと伝わっており、国会議員はスペインのマドリードまでしか来ない」と悔しがった。

 そんな中で、最も迷惑なケースは夫婦同伴の外遊にほかならない。夫は国会議員を案内してゴルフ場に行く間、妻は議員夫人を連れてショッピングに付き合わなければならないケースがあるためだ。妻のプライドがずたずたにされると、それは後日、駐在員のストレスになる。

 駐在員にとってつらいのは、案内しなければならないのが現職議員にとどまらないことだ。選挙後には落選者が「海外研修」に訪れるが、彼らを冷たくあしらった結果、後でしっぺ返しを食らったという話が伝説のように広がっているからだ。選挙は4年ごとにあり、補欠選挙もあるため、彼らが突然復活すれば、何を言われるか分からない。国会議員が「死んでも死なないゾンビ」に並び評されるのはそのためだ。

 国会議員の外遊はそれ自体が国民には迷惑だ。海外研修が必要ならば自腹で行けばよい。意味がない海外研修が必要なぐらいなら、最初から国家経営に携わるポストに就いてはならない。新政権は「国会議員外遊および海外接待禁止法」でも作って当然ではないか。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)社会部次長
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