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2007.6.8 FRI
性科学研究者「身体への接触なしでもオーガズムは可能」(1)
MRIスキャナーを駆使しボランティアの協力を得て、性科学者たちが性的世界の探究を行なっている。身体への接触がなくてもイメージだけでオーガズムが起こることを実証、新刊『オーガズムの科学』にまとめた科学者たちに、身体と脳の関係の潜在的な可能性について聞いた。
ワイアード・ニュース(以下WN):この5年から10年の間に、オーガズムについてどのようなことがわかったのでしょうか?
Beverly Whipple氏(以下敬称略):新しい技術が登場し、女性が以前よりオープンになったおかげで、女性がさまざまな形の刺激からオーガズムを経験できることが明らかにできた。オーガズムに関わる神経回路は1つではない。単なる反射作用ではないのだ。
Barry Komisaruk氏(以下敬称略):膣、頸部、クリトリス、および子宮から感覚信号を伝える4つの異なる神経経路があり、そのすべてがオーガズムに寄与できることがわかった。これは新たな発見だ。
WN:女性は、身体のさまざまな部分に刺激を受けることでオーガズムに達することができることを発見したのですね?
Komisaruk:オーガズムが、口、乳首、肛門、手など身体のあらゆる部分から導き出されることがわかった。このことから考えられるのは、身体のさまざまな部分から興奮状態が高まり、絶頂に達し、解消期に向かうという、オーガズムに共通の原則があるということだ。射精で終わらなくても、オーガズムの感覚を味わえる。
Whipple:われわれの研究所では、女性は身体への接触がなくてもイメージだけでオーガズムに達し得ることを実証した。重要なことは、女性がさまざまな形の刺激からオーガズムや性的快感を得ることができるということだ。生殖器への刺激は必須のものではない。
WN:生殖器によらないオーガズムについて、どのようなことがわかってきているのですか?
Whipple:それが本物のオーガズムだということだ。われわれは、オーガズムという言葉の定義を見直し、生殖器によるものだけをオーガズムと定義しないようにする必要があるだろう。イメージだけからオーガズムに達している間も、脳内では(生殖器によるオーガズムと)同じ特定の部位が活発化していることがわかった。
Komisaruk:このことから、身体と脳の潜在的な可能性に関するわれわれの見方は大きく広がった。身体のさまざまな部分から性的快感を導き出せる方法がさらにわかれば、感覚的な体験の潜在的な可能性が高まることになる。
WN:オーガズムが生殖器から完全に切り離されるときが来るかもしれないとお考えですか?
Komisaruk:今まさにそのときが来ている。さまざまな人が、イメージや鼻や膝からオーガズムを得ると語っている。奇妙に思えるかもしれないが、これらの報告はみな信用できるものだ。今では、疑いを持つ人たちには、われわれの本を見せて例証とすることができる。生殖器によらないオーガズムがどれほど普通に存在しているかはやがてわかるようになるだろう。
WN:下半身の感覚が麻痺した女性でさえ、生殖器への刺激によってオーガズムに達することができる事例もあるのですね。
Whipple:完全な脊髄離断、つまり脊髄が切断されている女性でもオーガズムを経験できることがはっきりわかった。
Komisaruk:オーガズムをつかさどる神経回路は迷走神経を経由している。迷走神経は頸部や子宮に直接つながっているため、脊髄を迂回することができる。脊髄を損傷した女性たちは、医者から生殖器の感覚は回復できず、生殖器から快感を得ることはできないと言われたと一様に語っていた。女性たちは、それでも性的快感を得ている自分は何かおかしいのではないかと思い、悩んでいた。
WN:迷走神経とは何でしょうか?
Whipple:さ迷い歩くという言葉の意味が表すとおり、迷走神経は身体中を走る。従来は、迷走神経は骨盤領域にまでは達していないと考えられていた。しかし、われわれも含め諸研究機関の研究によって、実際には、頸部や子宮、そしておそらく膣にまで達していることがわかってきた。そうした領域からの刺激が迷走神経によって運ばれ、腹部を通り抜け、横隔膜を経由し、胸部(胸腔)を通り、脊髄の外側を伝って首を昇っていき、脳に達する。
[日本語版:ガリレオ-佐藤 卓/小林理子]
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