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28歳羽生世代キラー渡辺竜王 43歳出るか“新手”佐藤王将

勝負を前に鎧をまとい掛川城を背にポーズをとる佐藤王将(左端)と渡辺竜王(右端)
勝負を前に鎧をまとい掛川城を背にポーズをとる佐藤王将(左端)と渡辺竜王(右端)
Photo By スポニチ

 佐藤康光王将(43)に渡辺明竜王(28)が挑む第62期王将戦七番勝負は13日、静岡県掛川市内で開幕する。昨年10期ぶりに復位した佐藤が迎え撃つ渡辺は、7大タイトルただ一人の20代ホルダー。竜王以外の6冠を占める羽生世代の雄との世代間戦争が始まる。12日は同市の「ヤマハリゾートつま恋」で前夜祭が開かれた。

 華やかなうたげにも緊迫感が漂った。両対局者のあいさつ。「渡辺さんは今充実している相手。全力を出し切って結果もついてくるように」と佐藤が意気込めば、渡辺は「王将戦は子供の頃から見ていた棋戦。1度は出たいと思っていた」と初の王将位へ温めてきた思いを明かした。

 好カードが実現した。渡辺は、羽生善治3冠(42)が5局以上対局した現役棋士で唯一、23勝20敗と勝ち越し。羽生世代のほかのタイトルホルダーの森内俊之名人(42)に17勝10敗、郷田真隆棋王(41)にも9勝6敗と勝ち越しているが、例外はいる。

 佐藤とは13勝17敗。渡辺がいわば「羽生世代キラー」なら、佐藤は「羽生世代キラー最後の天敵」と呼べそうだ。「これ以上離されたくないですね」。数字への意識を隠さない渡辺に対し、佐藤は「最近は対局が少なかった。あまり過去のことは考えてません」と慎重に言葉を選んだ。

 佐藤は昨年、将棋大賞の升田幸三賞を受賞した。同賞は大山康晴十五世名人のライバル升田を語り継ごうと、新定跡や新手、妙手に貢献した人物に与えられる。昨年の王将戦七番勝負、同じ掛川城での第1局▲5七王などが評価された。
 
 立会人の青野照市九段(59)は「佐藤さんは序盤から何が出るか分からない。渡辺さんが負け越す数少ない相手で、名勝負になる」とみている。佐藤が用意する新手に渡辺がどう対処するか、を見どころに挙げた。

 佐藤の連覇か、渡辺が羽生世代の制圧へ前進か。第1局の舞台掛川城は戦国時代、交通の要所として徳川家と武田家で争奪戦が展開され、山内一豊の居城としても知られる。将来歴史の分岐点だったと語り継がれる可能性がある七番勝負の幕開けに、ふさわしい。
 
 前夜祭には佐藤、渡辺と朝比奈豊毎日新聞社代表取締役社長、森戸幸生スポーツニッポン新聞社代表取締役社長のほか一般ファン、関係者ら130人が集い、七番勝負を激励した。

 ≪甲冑で決戦準備OK≫対局場となる掛川城二の丸茶室を検分した佐藤が「少し暗いですね」と指摘したため、40ワットの電球4個を追加した。検分後、両者は掛川城対決“恒例”の甲冑(かっちゅう)姿で記念撮影。約17キロもある山内一豊の甲冑を初めて身に着けた渡辺は「ズシリと重たさが伝わります。着る機会はなかったので、いい記念になりました」と満足そうだった。

 ◆佐藤 康光(さとう・やすみつ)1969年(昭44)10月1日生まれの43歳。京都府八幡市出身。田中魁秀九段門下。82年に奨励会入り、87年四段。93年第6期竜王戦で初タイトル。98年第56期名人、02年第51期王将、同年第73期棋聖に就き自身初の2冠に。06年永世棋聖。11年から日本将棋連盟棋士会長。1メートル68、65キロ、血液型O。妻と1女。

 ◆渡辺 明(わたなべ・あきら)1984年(昭59)4月23日生まれの28歳。東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。00年四段に。04年第17期竜王戦で初タイトル、08年永世竜王の資格を得る。11年第59期王座に就き自身初の2冠。1メートル66、58キロ、血液型O。妻と1男。

[ 2013年1月13日 06:00 ]

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