「ワタミの介護」で水死、入浴女性を９０分放置

　居酒屋チェーン「ワタミ」のグループ会社「ワタミの介護」が運営する介護付き有料老人ホーム「レストヴィラ赤塚」（東京都板橋区）で昨年２月、パーキンソン病の入居女性（当時７４歳）が、入浴時におぼれ、水死していたことが１２日、警視庁高島平署などへの取材で分かった。付き添いの職員は約１時間半にわたり、女性の様子を確認せず、“放置”していたという。

　同署などによると、女性は昨年２月１６日午後２時１５分ごろに入浴を始め、午後３時４０分ごろ、浴槽内で発見された。心肺停止状態で、その後、病院で死亡が確認された。女性は２０１０年１２月に入居。病状により、体の動作が不自由だった。

　ワタミによると、施設側は当初、遺族に「１０分間、目を離した間に心肺停止になった」とし、水死とは説明していなかった。その後、浴室外の防犯カメラの映像を確認し、入浴中の約１時間半、付き添い職員は、一度も女性の様子を確認していなかったことが分かった。

　老人ホーム運営は、ワタミグループの主要事業のひとつ。レストヴィラ赤塚は当時、全９６室の大半に入居者がいたという。介護施設の入浴では、機械を使った「特殊浴」と呼ばれる方法もあるが、ワタミの介護では、より入居者がくつろげるとされる「普通浴」を目指して、特殊浴を極力ゼロにする目標を掲げ、ＰＲしていた。今回の死亡は、その普通浴の間のことだったという。

　高島平署は職員らから当時の状況を聴取し、業務上過失致死容疑で捜査している。ワタミ広報は「警察の捜査に全面協力している。入居者様個々のことについては話せない」としている。

　ワタミの介護では、０６年に川崎市の「レストヴィラ元住吉」で、不適切な介護により、床ずれ悪化の敗血症で入居者男性が死亡したとして、横浜地裁が同社に、遺族への損害賠償の支払いを命じる判決を出している。

（2013年1月13日06時02分  スポーツ報知）

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