高校球児として甲子園を沸かせた桑田氏は、体育会系の部活動における体罰を批判した【拡大】
2009年に早稲田大大学院に入学し、プロ野球と東京六大学の選手約550人にアンケートした結果、中学や高校時代に「指導者から体罰を受けたことがある」と答えた選手が約半数いた。驚いたのは、その8割以上が体罰について「必要」「時には必要」と回答したことだ。一定の成功を収められたからこそ、「あの厳しい指導方法は良かった」と思うことができるのだろう。
体罰が減らないのは勝利至上主義があるためだ。プロ野球はそれでもよいが、アマチュアは育成主義でなくてはならない。指導者は、自分が体罰を経験して嫌な思いがあっても、勝利至上主義のために体罰を繰り返してしまう。
本来、スポーツにおいて乗り越えなくてはならないのは自分自身。人から何かをされて強くなるものではない。スポーツには体力と技術力と精神力が必要なのであって、根性では勝てない。
指導者は子どもたちがなぜうまくいかないのか、ともに悩んでほしい。うまくいくためのヒントを与えるのが指導者だ。道具も戦術も進化した。それなのに指導者だけは進歩せず、昔の指導方法のままだ。もっとスポーツの理論やコミュニケーションを勉強して、時代に合った指導方法に変えなくてはならない。
今回の体罰事件を機に、スポーツ界は変わっていくべきだ。
(紙面から)