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戦略的思考のすすめ

2013-01-13 07:18:00配信 コメント : 0
タグ: 孫崎享  推薦図書 

 私達は頻繁に「戦略」や「戦略的」という言葉に出会う。
 では「戦略」とは何か。
 私は戦略を「人、組織が死活的に重要だと思うことに目標を明確に認識する。そしてその実現の道筋を考える。かつ、相手の動きに応じ、自分に最適な道を選択する手段」と定義したい。
 「人、組織が死活的に重要なこと」であるから、人間、誰でも戦略的考え方を行っている。問題は、どの様にそれを考察しているかだ。
 日本人論の古典、ベネディクト著『菊と刀』は「(日本人の)行動は末の末まで、あたかも地図のようにあらかじめ決められている」「日本人が誠実であるという語を用いる際の意味は地図の上に描き出された道に従うということである」と記述した。
 早坂 隆著『世界の日本人ジョーク集』も厳しい。
「ある豪華客船が航海の最中に沈みだした。館長は乗客に速やかに船から脱出して海に飛び込むように指示した。
アメリカ人には“飛び込めば貴方は英雄です”
ドイツ人には“飛び込むのが規則になっています”
イタリア人には“飛び込めば女性にもてます”
フランス人には”飛び込まないで下さい“
日本人には“みんな飛び込んでいます”
 私達は「人、組織が死活的に重要なこと」をあまりにも他の人に決めてもらったり、周りの人に付和雷同する形で決めていることがないであろうか。 では戦略的に考えるとは、どのようなことを言うのであろうか。
 古今、さまざまな戦略本が書かれてきた。孫子のそうである。クラウゼヴィッツの『戦争論』もそうである。中でも元米国国防長官のマクナマラは戦略をシステム的に構築した。
第一段階:外的環境の把握と自己の能力・状況の把握
第二段階:自己の弱みと強みは何かの状況判断
第三段階:複数の代替戦略提案と戦略比較
第四段階:任務別計画提案
第五段階:資源配分、スケジュール決定
 日本では「戦略的」を第5段階だけで考えることが多い。重要なのは第一から第5である。
 我々は「人、組織が死活的に重要だと思うこと」は考えざるをえない。その時、マクナマラの手順に従い考察しているかと考えてみて欲しい。

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元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラーとなり、ツイッターのフォロワーも5万人を突破しました。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、ツイッターにさらに情報を加え、最低でも週1回発行します。月額105円。【発行周期】不定期。高い頻度で発行します。
著者
孫崎享
プロフィール
孫崎享(元外務省・国際情報局長)元外務官僚で、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を経て2009年まで防衛大学校教授。7月に発売された『戦後史の正体』は9月時点で8刷20万部の売れ行きとなった。ほかに『日本の国境問題-尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書)などがある。ツイッターのフォロワーは5万人を超えた。
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