皇室ゆかりの尼寺「林丘寺(りんきゅうじ)」(京都市左京区)の女性住職から先祖供養が名目の「霊感商法」で観音像などを買わされたとして、熊本市の自営業の男性(66)と妻(64)が11日、寺に対する損害賠償請求訴訟を京都地裁に起こした。購入費や慰謝料など計990万円の支払いを求めている。
訴状によると、夫婦は2001年12月に寺を訪れた際、住職から「先祖が成仏できていない。清めないと子孫が途絶える」と言われ、木彫りの観音像(高さ15センチ)10体を300万円で買った。05年には「先祖にハンセン病患者がいるから災いがないよう購入しなさい」と言われ、仏舎利(ぶっしゃり、釈迦の遺骨)として、プラスチック容器二つを400万円で買わされたという。
夫婦は10年ごろから住職を疑い、700万円の返還を求めていたという。11日に会見した妻は「父がハンセン病を患って苦しい思いをしたから信じてしまった。許せない」と話した。
住職は朝日新聞の取材に「700万円のうち一部は返還も考えていたので提訴に驚いている」と話した。
林丘寺は、17世紀に後水尾(ごみずのお)天皇の皇女が出家して入寺したことで知られるが、一般公開はしていない。(村上晃一)