明日への伝言板

  • 2012年11月15日(木)放送
  • 青森の雪
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  • ジャンル / 震災関連/風評被害
俳優・歌手 1951年生まれ。宮城県女川町出身。
74年「われら青春!」(NTV)の主役に抜擢されデビュー。
挿入歌「ふれあい」で歌手デビューし、売り上げが100万枚を超える。
今までに主演したドラマ、映画は100本以上。歌手としてもコンスタントに曲を発表し、 現在シングル51枚、アルバム39枚をリリース。
デビューから毎年行うコンサートツアーも1300回を超える。

●青森の雪

 こんにちは。中村雅俊です。
 今年2月、沖縄県那覇市で、子ども向けの雪遊びイベントが突然中止されました。
雪がないからでも、雪が溶けてしまったからでもありません。
雪そのものを嫌がった人たちがいたからです。


 那覇市では、海上自衛隊と協力し
 「雪の降らない沖縄の子どもたちに雪と触れ合う機会を」
と、雪をプレゼントするイベントを行っていました。
2004年から続いていたこの催しは、毎年、
海上自衛隊第五航空群が訓練先の青森県で雪を集め、
飛行機で沖縄の児童館へ運びます。
雪の降らない沖縄の子どもたちにとって、雪と触れ合う数少ない機会です。
 
 ところが、子どもたちも楽しみにしていたこのイベントが、突然中止されました。

 「青森から持ち込まれた雪には放射性物質が含まれ、
  被ばくする可能性がある」。

一部の大人たちの、そんな声が相次いだことによる中止でした。
ただ、持ち込まれた雪は、飛行機への搬入・搬出の際に自衛隊員により
放射線量の測定が行われており、問題のない数値でした。
雪に疑いを持っていた人たちは、もともと那覇に住んでいた市民ではなく、
東日本大震災が起こってから、東京や神奈川から自主避難してきた人たちでした。
 
 科学的な数値や事実よりも、うわさ話やイメージが先行する。
東日本大震災から発生した風評被害は、被災地やその付近の農家や漁業関係者にも
大きな影響を与えています。国からの出荷制限を受けていない農作物や漁獲物までもが、
汚染されていると疑われ、店頭に並ばなかったり、手を伸ばされなかったりしています。

 一方で、雪遊びイベントを中止した那覇市には
 「風評被害につながる市の対応はおかしい」
と、イベント開催を求める電話が多数寄せられました。
那覇市は再度検討し、雪遊びを別途計画していた市内の学童保育施設に
プレゼントすることを決めました。
生まれて初めて雪に触る子もいて、雪を手にした子どもたちには笑顔が広がりました。


 風評被害だけではなく、差別問題などの根本は一人一人の意識から始まります。
情報網の発達した今、誤った情報や先入観に惑わされることなく、
正しい情報に基づき、事実を正しく認識することが大切です。

 では、また。
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